条件提示
「条件は今お前が住んでいるアパートを引き払ってからになるから、まぁ二週間後の4月11日だな、そこから来年の4月11日の正午まで、出発は4月11日の早朝で到着は正午過ぎになる、場所は言ったように大中火島、儂が準備した条件にあった物を持っていける」と大まかな条件が提示される。
期間については今現在フリーターで無職でしかない俺からすれば捻出は余裕だ、場所はまぁさっき確認した通り、持っていける物、これに関しては此方の要求を飲んで貰えそうだな。
「持っていける物って? ライターとか? 流石にライターだけじゃどうにもならないんだけど」と問いかければ
「まず服だな、言ったように素っ裸で放り出すつもりは無い、ジャケットとセーターにズボンにポロシャツが一着、インナーが三着、靴下が五足、靴が一足、これらはお前が好きなヤツを持って来い、これに儂が昔使っていた登山用のリュックと水筒、コンパス、ギブアップ用の衛星電話、後はお前が選ぶ物が12個だな」と追加の条件、と言うよりもはやルールに近いが説明を受ける。
「選ぶ物って言うからには自由な訳だ、それこそ米100キロとかでも良いの? 後ギブアップした場合の報酬はどうなるの?」と間違いなく通らない誇大解釈を口にすれば
「流石にそれはダメだな、正しくはネット通販で12商品、総重量は20キロ、同じ商品を二つ買う事は不可、ただし商品名が違う場合は可、予算はまぁ15万で良かろうよ。ギブアップの場合だが期間に応じて奨学金の一部を払ってやるがバイクと口利きは無しだな」とキッチリと断られた、しかし先ほどから思っていたがスラスラと条件を出している所を見ると事前にこの計画を用意していたんだろうな。
さて予算15万、総重量20キロ、12商品、割とシビアな線だろう、例えば水、普通なら2リットル入りを一本購入で済むが通販サイトだと大体6本入り1セット、それだけで12キロだ、しかも量は絶望的に足りない。流石に水を購入したりはしないが細かい所を確認しないと大変な事になる、それこそ自殺行為になれば笑えない。
後はギブアップについてだが、此方は譲歩を引き出せるはずだ。当初の予定だと報酬の上乗せを狙ったが計画的な所を見るに不可能っぽいし、ここが勝負所だろ。