南十字
まぁ呼ばれるにしても一人と言うことはないだろうし、行くとしたら親父か俺か、まぁ親父は仕事があるし、俺もその時にどうなっているか解らない。
辞退はできたとして一人は行かなければだろう、まぁ仮に俺が祖父の名代として行くとしたら望を誘うかね、宇宙から星が見れるんだ、なんとしてでも来るだろ。
まぁタラレバだが。
2時間程楽しんで拠点に戻る、墨巣さんはほぼ無言で空を見上げていたがさて、南米と比べてどうだろうか、でも南半球と北半球で見える星は違うしな、感想も違うだろうが明日にでも聞いてみよう。
まぁ此所は南側だし南十字星くらいならギリギリ見える可能性も……無いか、まぁ一部だけなら見えるだろうが。
確か沖縄の南の方なら全体を見る事ができると望から聞いた覚えがあるし、九州よりは南だし半分くらいなら見えるかね。
ただ俺の知識だとどれが何なのか全く不明なのだが、残念ながら北斗七星ですらなんとなくでしか解ってない、北極星ですら危ういし。
目覚めは最悪と言える、なにせバタバタとテントに打ち付ける雨音が鳴り響く音で目が覚めたんだ、これを最悪と言わずして何を最悪と呼べばいいのやら。
顔を出すまでもなくどしゃ降りと解る音だな、雨粒とか凄い大きくてバケツをひっくり返したような雨なんだろうな。
それでもテントの入り口を小さく開いて外の様子を見る、なんというか物凄い雨が叩き付けてもはや銃撃だな、雨跳ねが霧のように立ち込めるレベルの大雨だ、これはもう何も1日できない。
流石にこの雨だと外に出ての作業は不可能だな、丸1日降るのか止むのか、連日続くのか不明だがさて、静かに過ごすしかないかね。
幸いにして焼き干しは墨巣さんのテントにも吊るされてる筈だし、声だけ掛けて大人しくしていよう。
「あー、聞こえてるか?」
とりあえず聞こえてるか、と言うか起きているかチェックする、流石にこんな状況で一方的に予定を捲し立てても聞き取れなかったりするだけだ。
「何か言った?」
雨音の向こうから聞こえてきた声でとりあえず起きている事は解る、それに聞こえてもいるし、まぁ問題ないか。
「えーっと、まぁ今日は休みだな」
解りきってはいるだろうが念のためだ、まぁこの天気だとのんびりするしかないしな、ただまぁ側溝のチェックができそうで何よりだ、明日覗いてみて何処まで効果があるか確認しよう。
それに屋根や壁の効果も思いがけずチェックできる、墨巣さんが運び込んでくれた薪が濡れているかどうか、いや濡れてはいるだろうがどの程度濡れているかで追加の対策も必要になるしな。




