面倒事
そこそこ登ったところで浄水器を準備して汲み出すために川に手を入れる。
「うん? 温いな」
夏も近いとは言え、かなり温い、これは人肌に近い温度だな。
「本当に温いわね、今の拠点と全く違う」
ふむ、可能性として最も高いのはやはり温泉か、しかし面倒だなコレは。
仮に温泉だとしても、その温度がどの程度かは解らないし、そもそも安全かどうかも解らない、ガスとか出てたら近付いただけでアウトだし湯質によっては浸かる事もできない。
「これは温泉かな? だとしても危険がある以上慎重にならざるを得ないか、少し考える必要があるな、何より水の補充は諦めるしかない」
残念ながら温泉には対応してないんだよな、ギリギリ泥水は対応しているが鉱泉は対応外だ、この水の性質が何かは解らないが様子見の必要はある。
「危険って具体的には?」
「まずはガスだな、硫化水素とか聞いたこと有るだろ? あれが出てるなら下手に登ると死ぬ、問題ないとしても泉質次第じゃ浸かるのは控えるべきだろ、後は湯量と温度だな、温度は水で調整できるとしても湧き出る湯量はどうしようもない、何より調査の前にここまで来るためのルートを作らないとだし、早くて秋の終わりまでは掛かるだろうな、色々と短縮しても秋までは確定だ」
やるべき事が累積している現状だと、どうしても後手には回ってしまう、少なくとも干場の完成と水草の掃除くらいは済ませないと次に移れないような状況ではあるのだ。
何よりチェックには時間が掛かり過ぎる、phくらいなら野草の煮汁を草木染めの要領で大まかに判断は可能だろうが、それが入って大丈夫か確認するのはまた違った判断を必要とする、まぁ手を浸けた感じ問題はないと思うがしばらく様子見だな、なんと言うかとんだパッチテストになってしまっている、ある意味数段飛ばしで実験してしまった事にはなるな。
まぁリバウンド期でもないし、源泉からは離れていて海水と多少混ざっている、そこまで悪くはならないだろう、とりあえず先々に向けた一手にはなるだろう。
確定するのが2ヶ月くらい先だから何処まで効果が有るかは不明だが、正直に言って状況が流動的過ぎて先が見えない、正直に言ってまたここに来ることができるかどうかすら解らない。
そのための準備ですらかなり先になり、その時にどんな問題が噴出しているか不明だからな。




