三本目
30分程掛けて岬を登りきり、その頂上からの光景を見渡す。
後ろは今まで歩いてきた砂浜と砂利の海岸線が膨らんだ弧を描き、遥か向こうに漂着ポイント近くの丘が見えている。
前方はと言うと予想通りというべきか、もう一つ岬が見えるな、ただし遥か向こうの霞む視界の中にだが、あそこまでは軽く十五キロは有るな帰りを考えないなら1日で移動できる距離ではあるのだろうが、流石に無茶が過ぎるな。
そんな事をするくらいなら東側に目を向けた方がまだ建設的だ。
しかし、見えているのはそれだけではない、やや抉れた白い砂浜が続き、その先に若干の岩場が見える、何より流れ込む川が見えている、恐らく調査を考えると距離的にあそこが今日の終点になるだろうな。
「とりあえずあの川を目指すとして、食事にしようか、少し疲れもあるしな」
そう告げてその場に座り込む、かなりキテるなコレは、限界もすぐそこに見えてきている、明日の休暇は確定として今日の成果を良きものとしたい。
昼食と食休みに1時間程使い、多少は回復したところで目的地を目指して歩き出す、さて目新しいものでも有ればいいのだが望み薄ではあるな、みた感じ細い小川だし、遠目でも若干海水が逆流して気水域になっているらしい事が見て取れる。
珍しくもなんともない、ただの小さな川だろう、仮に何かが有るとしても予想の範疇から外れない平凡な物だろうな。
砂浜を進んで川辺までやって来た、やはり海水が川に侵入して逆流しているな、しかもか細く浅い川だから河口付近だと気水域ではなく、純度100パーセントの海水だろう。
上流に目を向けるが深い森に続く川はほんの少し先で深く、かつ細くなっているらしく、ようやくと言っていいのか気水域だろうと想像できる。
それでもまだかなり先まではその状態が続くんだろうな、時間帯的に満ち潮を越えた頃だろうから大部分を海水に侵食されているだろうと予想ができる。
それでも少し登れば水を手にいれる事も可能かね、そろそろ水筒の水も心もとないし予定より早く到着している、少しばかり遡上するのは吝かではない。
「水の補給もしたいし、少し登ろうか」
そう告げて上流に足を向ける、さて一キロも登れば良いとは思うが往復30分強、辛くないと言えば嘘にはなるな。
浄水器が海水対応なら楽なんだが、アレ高いんだよな、しかも海水を綺麗にするのにかなり時間が掛かりフィルターも数回でダメになる仕様だ、それを考えると今のがベストだったとは思う。
まぁ今のも今ので定期的にフィルター交換は必要なんだが。
そう言えばそろそろ交換の時期も近いな、連続使用で4ヶ月とかだし、来月の頭には交換しよう。




