次への一手
雑多な漂着物を軽く一瞥して、大まかに必要そうな物が流れ着いている事に安心する、ロープとか釣り糸とか網とか、あるいはそこそこサイズのある鉄製の何かとかも流れ着いているし、一通り揃うだろう。
しかしコレはなんなんだろうな、錆びまくった四角い、恐らくは扉が取れたロッカーなんだろうが、ここまで錆びていると一目で解らない。
いやしかし穴だらけで錆びて崩れて、なんと言うか物悲しさがあるな、と言うかロッカーって普通アルミ製だと思うんだが鉄製って珍しいな、また思考が脱線したな。
さてどうするか、時間が微妙だな、ここで戻っても良いが進んでも問題はない。
とりあえず今日の成果としては上々も上々だし、時間的と体力的に余裕も生まれるだろうから帰還しようかね、なんなら明日もあるわけだし急がなくても良いだろう、何より明日は今日と違って道を切り開く必要も、迷って動き回る事もないから時間もかなり使える。
とは言え、流石に予定より20分も余るのはやや引っ掛かるな、しかし物は過多だから拾う必要がないし帰り道の簡易的な整備くらいが順当かね。
「とりあえず今日はここで戻ろうか、帰り道の整備もしたいし、続きは明日って事で」
そう墨巣さんに告げて少し深呼吸する、流石に疲れたな、休むための筈の探索でここまで体力を使うとは予想外と言うか予想しておくべきだったな。
まぁ良いだろう、最悪1日休んでも良いわけだし全体として見ればプラスになっている。
そのまま引き返しもう一度坂を上って下って森の入り口まで戻る、後はある程度踏み固められた地面をさらに踏み固めて邪魔な草や枝を払って進む。
そのまま一気に戻って、行きとは違いほんの1時間強で拠点に帰還した。
これで明日はかなり楽ができるな、少なくとも往復にかかる手間は段違いで、移動以外で体力を消耗することもない、まぁ全く使わない訳ではないし疲れは残るだろうがそこはペース配分やらで調整しよう。
少し休む事にしてテントに戻り、マッサージで体を解しつつ時間を過ごす、さてただ休むというのもなんだし明日の事を考えるとしよう。
今日進んだのはほんの少し、本来なら1時間もあれば進める程度だから直線だと四キロも離れていない事になる、たった四キロを進むために半日近くとは驚きだが道なき道を進むにはそれだけ必要なんだろうな。
翌日の事を考えて枝葉を切りながらの道だし余計にだろう、気にしないで進んでいればもう少し距離を稼げただろう、代わりにかなり迂回する必要もあっただろうが。




