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お弁当

 何度か迂回したりしつつ1時間掛からないくらいで滝まで出れた、こちら側に来るのは初めてだがこうなってたんだな。

 なだらかな丘の突端だと思っていたのだがこちら側だとかなり急だな、しかも細かい砂利と砂の地面だ、流石にここから下るのは危険だろう。

少し戻って森から下るルートを選ぼう、ロープを張る手もあるが無理をする必要は無いし感じない、多少手間でも確実で安全な策を取っておこう。


 少しどころかかなり戻った所でようやく安全に下れそうな場所を見付けて、そこを切り開きながら進んでいく、このペースだと海に出るのに2時間くらいは掛かりそうだな。

 木々を切り開きながら少しずつルートを確保して、少しずつ下っていく、流石に一直線にとは行かないがそろそろ丘を下り切った頃合いと言う所で方向転換して海岸を目指す、まぁ岩場とか鬱蒼とした木々とかを迂回しながらにはなるだろうが。

お昼頃、木々の隙間から見える太陽がかなり高くなる頃になって、ようやく潮騒が大きくなり、木々の隙間から海が見えてきた。


 森を抜けて海岸線に到着し、丘を見上げればつい2時間前に立っていたどあろう場所が見える。

高さ的にはおおよそ4~50メートルもないと思うのだが大きく迂回したものだな、直線なら2分足らずで降りれた距離だぞ。


 休息としてその場に座り込み昼食を取る、流石にけっこう疲れるな、簡単ではあるがルートを切り開くのはやはりスタミナを使う。

だがここからは海岸線に沿って歩くだけだしかなり楽だろう、それでも帰り道を考えると1時間程度進むのがやっとだろうが。

 「流石に少し疲れたな、墨巣さんは大丈夫?」

そう問いかける、まぁ俺のように枝葉を切り払ってはいないが地面を踏み固めてはもらっているからそこそこ疲れはしているだろう。


 「平気ではないわね、流石に体が鈍ってるわ、全盛ならここまで疲れないのに、肺が完治してもこの有り様だとしばらく記録は諦めた方が良さそうね」

 なんと言うか申し訳ない、ただでさえここでは専門の治療も受けられないし、体を鍛えることもできない、彼女の選手としての能力は停滞どころかマイナスにしかならないんだ、しかも俺がどれだけ頑張ったところで好転しないし彼女がどれだけ望んでも叶わないから質が悪い。

しかも栄養面もおかしな事になっているし、最悪怪我も付き纏い、ストレスも多分に受ける、悪い事しかないくらいに悪い。最悪も最悪、最低も最低、それでも彼女が選んだんだ、残念ながらもう変わらないし変えられない、ただ早く事態が終息して元のとまではいかなくても普通の生活ができることを祈るとしよう。

具体的には今まさに精力的に取り組んでいるだろう祖父と弁護士さんに。

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