小細工下準備
目が覚めると同時に耳を澄ます、朝から雨の有無を耳で確かめる行動をもはや無意識でやってから体を起こす、日常のルーティーンの一つだな。
さて、幸いにして雨の音は全くしないし、探索に支障は出ないと思う、まぁ降ったところで拠点でゆっくり休んで後日にずらすだけだし大差はなのだが。
テントから出て体を伸ばす、やはりと言うべきか多少の疲れが体にまとわりついているな、全力で動くには少しばかり懸念が残るがのんびりゆっくり慎重に探索するには支障はなさそうだ。
とりあえず時間を有効に使うために大まかな予定を組もう、まずは漁だな、今日は焼き干しの入れ替えもしたいしそのままサクサク済ませて、そこから昼食までの間に西側の海岸に出るルートの確保、お弁当として焼き干しを食べて海岸線を進んで程よいところで帰還する。
そんな感じで良いだろう、多少ズレはするだろうが別に決まった観光名所を行くわけでも無し、時間に追われるのは午後の漁くらいでそれ以外はゆったりでも構わないだろう。
装備を確認した後のんびり気分で磯を目指す、叶うなら小魚たっぷりでお願いしたいな、まぁリバウンドからそこまで期間を空けていないし大丈夫だろうが、それと小魚たっぷりかは別問題だからな。
今回は墨巣さんにも手伝ってもらいホースで一段目の水を抜いて後を任せ、俺はそのまま二段目の水抜きに入る。
要は可能性を拡げてしまえばいい、小魚たっぷりか不明なら小魚たっぷりの可能性を引き寄せればいい、この方法ならその可能性を引き寄せる。
今回の場合、小魚は必須となる、逆に大きな魚は必要ではない、まぁ今回に限ってではあるが墨巣さんという大物捕りを眠らせる代わりに小魚を狙う、目的を考えれば順当だろう。
魚を仕分けしてその場で絞めていく、後は焼いていくだけだ。
拠点に戻り魚を焼いていく間に、丸太を運び込む、ようやく乾燥も進んで軽くなった頃だとは思ったが流石に抱えるにはやや重く、転がしながら運び込んで、ようやく俺の椅子が運び込めた、多少スタミナを使いはしたがまぁ別に構わないだろう。
焼けた魚を干していき、装備の確認等の準備を済ます、目覚めてから2時間強、おおよそ8時前くらい、さぁ探索に出発だ。
まずは川を渡る必要が有るが激流だしな、大人しく池から迂回するルートを選ぼう。
森を進んで池に到着してそのままぐるりと周囲を回る、やはり水草が出てきているな、掃除は必須だろう、と言うかよく流れて行かないものだな。
さて、ここからは完全に未知の領域に入る、慎重に行こう。
川沿いに安全なルートを確認しつつ適度に木の枝や下草を払って進む、全く踏み固められていないし、誰も分け入ってないのが解るな、むしろ獣道があった方が怖いが。




