磯ルート
やはりと言うべきだろうがズレが有る、流石にコンパスと俺の感覚のみで正確な位置関係を把握してルートを構築して開拓するのは不可能だ、しかも歩きにくい岩場だとか、斬り倒せそうにない大木といった物を迂回するようにかなりジグザグの道になっているのだから当然だろう。
迂回路を適度に織り交ぜ、ルートを何度も修正して海に向けて木を斬り倒し、枝を切り落としながらルートを作り出す。
森の中を歩く場合、下草や足場の悪さ以上に木の枝がかなり邪魔になる、人の手が入っていないならなおさらで、自然に折れた枝やらがとにかく邪魔で、まるで人を拒絶するように立ち塞がる。そう言った枝を切り払い掃除して、下草を適度に踏み、適度に引っこ抜いたり刈り込んだりしつつルートを進む。
数時間を掛けてルートを構築し、磯の目の前までのルートを開拓した。
この磯で満足しているかと問われれば答えは未定だ、そもそも比較対象が少なすぎて話にならないし、なによりここは南側、黒潮の流れも来ているだろうが本流とはいかない、豊富な漁場は北側にあるはずだ。
とにもかくにも、急ぎで可及的速やかに、スピーディーに即座に食料の確保を済ましてしまおう、未来は誰にも解らない、一寸先は闇、一秒先は未知数、北側に出るにしてもまずは仮の夜営地も必要になるし、その前に水場の確保が必要となるだろう。
沸々と沸き上がる現状打破の気持ちを抑え、今はまだ此処をキャンプ地として暮らすとしよう。
とまれ、今後の予定としての指標にはなっている、大前提として水の発見、規模次第で拠点を移すし場合によっては夜営地として扱う事になるだろう、罠が作れれば本格的な探索に入りやすいし、明日は必ず罠作りをしよう。
夕食を済まし、テントに入る、しかし本当にそろそろ新たな、そして豊富な水場を探さないといけない、拾った物がかなり集まってきているし、荷物が増えれば引っ越しが大変になる、この間でさえほぼ2日掛かったのだ、このまま荷物を増やし続ければ労力はねずみ算式に増えていく。
今ならまだ極端な量じゃないし、今月の定期報告より前に本格的な探索を繰り返せば何かは見付かる筈だ、まだ島の南側、その一部しか探索していない事を考えれば狭い範囲に水場やら竹林やらを見付けたのだ、この幸運が消える前に状況打開の一手が欲しい。




