可能性の想定
「なら次は磯ね、って言っても今の磯から変えるつもりはないんでしょ? せいぜい罠がどうとか言っていたけどどういうものを仕掛けるの?」
「ウナギ筒ってやつだな、まぁ基本は蛸壷として使うが小魚も捕れたりもする、一応編み込んだやつが一つに単純に竹を切って節を抜いただけのやつが二本だな、残念ながら今の磯では全く捕れないから死蔵するしかないんだが」
色々と試して全くのボウズだったからな、まぁシェルター側だと何かしら入っていたりしていたから勝率としては中々に高いとは思う。
「そう、で、後は引っ越しだったかしら? 確かにここまで整備してきて、短い間の私でも愛着もあるしよっぽど、それこそここが霞むくらいの何かがないと引っ越す気にはならないわね」
愛着とかではなく単純に引っ越しの大変さからくる物なんだがその辺りは触れないでおいた方が良いのかね、いや話しておこうか、この齟齬が後々に大きな隔たりになっても嫌だしな。
「愛着ってより引っ越しがとにかく大変なんだよ、シェルターの有った場所に前は住んでてそこからこっちに引っ越したんだけど、準備含めてかなりの時間と労力が必要になったから、まぁ愛着も多少はあるけど」
流石にこちらに移って2ヶ月くらい、正確な日数は解らないからおおよそではあるが外れてはいないと思う、少なくとも1ヶ月は過ごしている、愛着に近い物は感じてはいる、面倒というのも本音だし、できる事ならもう移りたくはない。
仮に、仮にだがヤシの木にバナナにリンゴに梨にミカンにと果樹がバカみたいに生えているような異様な光景がそこに在ったとしても、入植を目指すための拠点となる建物が有ろうとも引っ越すつもりはない、まぁこれらは絶対に有り得ないと言える例では有るのだが。
それでもヤシの木くらいなら可能性としては有るんじゃないかな? フィリピンかマレーシア辺りから黒潮に乗って流れ着いて成長した奴が何処かに生えていてもおかしくはないし、今は無くても将来的には起こりうる可能性だと思う。
後はまぁ可能性はない、誰かが持ち込みでもしない限りは自生するような果実ではないしな、奇跡的に海に流された実が有ったとしても普通に漂着する頃には腐り果ててるだろうし。バナナに至っては普通に株分けで増えるタイプの植物だしな、一応種がある品種もあるらしいがやはり流れ着くには少々と言わず問題しかない。
まぁ全てはたらればでしかない、想定はするし対応も考えはするが可能性の低さから優先順位もまた低い、下手をすれば探索が終わる頃には記憶から消去する程度の物でしかない。
全ては明日だ、どんな物が有るのかは解らないしプラスになるのかマイナスになるのかすらも解らないがそれでも何かが動き出すし、善きに悪きに転がるんだ、悪きに転がったところでこのタイミングから対策が取れる事を考えれかなりの好転と言える。




