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粗捜し

 思い出すのは祖父の逸話の一つ、俺の幼い頃のトラウマ、曰く『子供の頃裏山で遊んでて猪にぶっ飛ばされて足の骨折った』と、だから子供の頃は裏山が怖くて怖くて、祖母に誘われても絶対に入りたくなかった、それがいつの頃からか問題なくズンズン分け入り山菜とか採ってたな、鹿とかとエンカウントしたが向こうから逃げてくし猪とエンカウントしても向こうから逃げてくし、日常生活常人の祖父と日常生活幸運の俺と比べるのがオカシイと気付いてからはあの裏山が好きになっていた。

 高校時代、まだ祖母が生きていた頃、春には二人で山菜やなんかを採り、夏には鶴子に付き合って渓流釣りに出掛けた、と言っても俺は近くの岩場から餌さとなる虫を捕るのが専門だったが、秋には紅葉を見に昇と共に山頂を目指し、冬は特に何もなかったな、今なら望でも誘って天体観測を楽しむんだが。

あぁ、そう言えば大事な事を言い忘れていたな、動物と行き合った時の鉄則の一つを。


 「後もう一つ付け加えるが、仮に動物と目が合ってしまった場合だが、絶対に目を反らすな、反らした瞬間に襲ってくるぞ、もちろん合わせないのが第一だが残念ながら偶発的に起こりうるから」

 俺もこの島に来てから何度となく動物達と目を合わせてしまっている、どれもこれも居たと思った瞬間にはガッツリだからな、離すに離せなくてにらみ合いに持ち込むしかない。

変な話だが、野性動物の大半に取って目を合わせるのはケンカ売る行為だが一度目を合わせてから離すのはケンカに負けた事になり襲ってくれって言うようなものとなる、まぁ例外も居たりするらしいのだが詳しくはない、とりあえず飼犬とかはむしろ目を合わせた方が良いらしいが。


 「気になる点は今のところ思い浮かばないわね、とりあえず作業中に精査してみるわ、第一印象で問題がないから粗探しにしかならないでしょうけど」

 「粗探し上等、むしろ重箱の隅つつくくらいが丁度良いんだよ、石橋を転ばぬ先の杖で叩いて渡るくらいがこの生活の基本だからな、安全に安全を重ねて保険を掛けて何重にもチェックしてようやく一安心ってくらい慎重な方が良い」

俺がこの島にきた時に決めた規範、1年を無事に過ごすための鉄則、希に反した行いをする事もあるが守り続けて心に刻み付けたままでいる、墨巣さんにもそうであってほしい、押し付けではあるが嘗めてかかれば最悪死ぬし助けは期待できない自己責任の世界なんだから。


 墨巣さんと分かれて建築現場に向かう、とりあえず今日の内に三面を終わらせつつ排水路用にポイントを打っていこうか。

 適当に地面に線を描くだけだが指標にはなる、後は何処までやるかだな、ガッツリやるなら勾配を調整して池に流れ込む水路を、次点として途中まで続く水路、最下点としては溝だけ掘って自然に任せるってところか、まぁ後々を考えると次点だよな。

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