可能性と想定
「とりあえず確定事項として聞いて欲しいんだが、明日は探索に出掛ける事になる、後はこちらはまだ予定の段階だが明後日も可能性を考えておいてくれ」
作業の進捗を考えるとそこまで深刻になってほしくは無いのだが残念ながらその日の状況によるため今の段階ではああだこうだ言えない。俺だってその日その時の刹那的な考えで行動したくは無いのだが不透明過ぎて予定の立てようがないというのが現場だ。
明日を確定させただけ、大観として作業を進めているだけでも良しとしないといけないのは辛いな、もう少し予定をしっかりと組みたいのだが天候体力漁果と三つの段階でイレギュラーが発生する因子を越えないと理想通りに動けない、せめて明日の天気だけでも予想できるならかなり楽なんだがな。
「そう、まぁどっちにしても付いていくわけだし構わないわよ、それこそ何か良いものを見付けたりで調査に3日とか予想していたから」
ふむ、流石にそれは考えてなかったな、確かに何かを見付けた場合その調査は必要となる、それが漂着物の溜まるポイントとか動物の痕跡程度ならその場その瞬間で済むが例えば難破船とかなら数日は時間を取られるだろう。
「調査か……流石にそこまで頭が回ってなかったな、なるほど確かにそうか、場合によっては3日に変更しておいてくれ、俺も想定されるケースとその対応を練っておくよ、その辺りのすり合わせは後でゆっくりやろう、と言っても虫の知らせは無いから極端にオカシな物は無いとは思うけど万が一は有るから」
それだけ告げて建築現場を目指す、幸いにしてと言うべきか虫の知らせは本当に息を潜めているし、幸運も続いてはいるから悪い目は出ないとは思う、それでもどうしたってイレギュラーは起こってしまう、それを可能な限り排除したくても限界はあるから想定と対策をキッチリやっておくのが吉だろう。
現場に到着してまた穴堀りだ、残るは二面、今日中は絶対に無理だが少しでも進めよう。
適度に休息を取りつつ思考は様々な可能性を検討していく、良い物悪い物を問わず考えてそれぞれにそれぞれの答えを嵌め込んで整理していく、こういった作業の場合カオスな思考はプラスであり得ないくらいにツラツラと可能性を挙げてはその対策を導いていく。
時たま脱線しつつ思考を加速させ、適度に休めた所で今度は頭を空っぽにして穴を掘る、なんと言うか緩急が激しいな、ある意味肉体の休息と思考の休息を交互に取っているような物だな。
とりあえず作業を進めてなんとか半分と少し、コツが掴めてきたからか作業スピードが上がっているな、それに伴って消費する体力も減ってはいると思うのだが微々たる差でしかないのが残念だな。
もう半月も続ければ問題無いレベルにまで鍛え上げる事も可能だろうがそこまで作業期間は延びないし鍛え上げたところで使う機会が訪れるとは思えない、無為な時間を過ごしたくはないし諦めとも違うが飲み込もう。




