有用性
目覚めと共に寝袋から這い出て、テントの近くに転がった竹を見て、今日1日の予定を再認識する。
まぁ今は食料の調達が急務だ、薪だとかは後からでも問題ない。
いつもの磯で貝やらウニやらを拾い、のんびりと帰路に着く、流石にやや筋肉痛気味で体の動きが固いし重い、流石に動けなくなるレベルの倦怠感ではないが、それでも無茶な動きはしたくない。
拾った貝を放置して、上陸してすぐの頃より広くなってきたキャンプ地を見回し、どうしたものかと思案する。
海側を切り開いて磯までの最短ルートを構築しつつ薪を集めるか、もしくは痕跡のあった木に続くルートを切り開いて竹を採りに行きやすくするか、あるいは森の奥に向けて新たなルートを改築するか、もしくはキャンプ地を広げるか。
第一案の場合はなんと言っても食料確保が楽になる、今のルートはやや遠回りになっているし、最短ルートの構築は後々を考えれば最善の案であろう、だが一先ずは保留。
第二案は竹を採りに行くのが楽になる、やはり海側を大きく迂回するより直線とまでは行かないが時間の節約にはなる、ただし竹を持っての帰還は難しいだろう、流石に長距離すぎて何処かで引っ掛かるなりして時間が余分に掛かりそうだ。
第三案は特にうま味がない、新たな何かを見付けていたなら最善にとって代わる最良となった筈だが現時点ではそこまでの緊急性がない。
第四案、これは拠点の強化に繋がるが、はっきり言って悪手か妙手かの二択でしかない、確かに拠点を広げて作業スペース等を確保したいところでは有るが、今使っている水源はあまりにもか細い、仮にもっと優れた水源や水場が在った場合は拠点を移すわけだから徒労に終わる、逆になければ後々に響く事になる。だが水源が複数存在しているのは祖父が確約しているし、少なくともこの水場に動物の気配が薄い以上、狸やなんかが利用している場所が何処かに在る筈だ。
となればやはり第一案の採用だな、第二案も徒労に終わる可能性は有るし、今の段階だと有益でも後を見据えて我慢だ、少なくとも二ヶ月以内に水場が見付からなかった場合以外で再燃するような案ではない。
新たなルートを作る訳だが、そこまで既存のルートととの違いは無い、ほんの少しだけ角度を変えれば良いだけで、現在のルートの出口から磯まで5分前後と極端なズレではない。ほんの僅かに南西向けて手斧を降り下ろしながら進み、半分程度まで来た所で切り落とした枝や斬り倒された木々を拠点に運んで積み上げ、下草を踏みつつ落ちた木っ端を森に投げ入れて処分し、ルートの中間点まで戻った。
後はここから一度海まで出て位置を確認し、ルートを修正すれば作業は完了となる。




