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感覚のズレ

 美味しくご飯を頂いて、感謝を込めて

「ごちそうさまでした」

自分で作って自分で食べる、それでも毎日欠かした事はない、作物を作った誰かに対する感謝、命を頂く感謝、料理人に対する感謝、これらを怠るのは料理に対する、食事に対する冒涜である、祖母の受け売りではあるが、俺の脳と精神に刻み込まれている。


 満腹の幸せを噛み締めつつ後片付けと食後の歯磨きも済まして寝袋に体を預ける、この瞬間もまた幸せではあるな。



 いつもの朝を迎えて寝袋から這い出て軽く伸びをする、音からして雨は降っていないらしく安心してテントから頭を出す。

 流石にもう七月、早朝と呼べる時間でも明るくなっているな、山影ではあるからそこまでの差は感じないが空はかなり青さを見せている、まぁまだ黒が優勢のようだがこの黒と濃紺に青、山頂の向こう側のオレンジとすばらしいコントラストは一月前ならもう少し、漁の途中でようやく見れる絶景だったのだがな。

夏至はもう済んでいる筈だが、やはり本格的な夏が近づいてる証拠だろう、そろそろ梅雨も終わって照りつく太陽による猛暑がやって来る。


 今日は途中で止まってしまっている建築作業だな、とりあえず屋根は今日中に完成するし後は側溝か、竹が余っているからかなり低い壁を作って盛土を省いて側溝もそこまで深く作らなければおおよそ1週間でなんとかなるだろう、梅雨には間に合わなかったが台風には間に合いそうだな、一足早い奴が来なければだが。

 さて、今日も漁から1日を始めようか。

磯に向かって森を進む、微妙に下る道のりをのんびりと歩いていく、なんと言うか早朝の森林浴を毎日しているような物なのだがさてその効果はいかほどかね。


 と言うか改めて考えるとものすごいよな、家を出て数歩で深い森、徒歩数分で海に出て、絶景を見たいなら海に注ぎ込む滝に雄大な山と枚挙に暇がない、人の喧騒もない、有るのは風の音や鳥の鳴き声くらいという静寂と言っていいレベルの静けさ、もしかしたら隠居のためにこの島を買ったのかね。

 それにしてはスケールがでかいが天運持ちだからな、金銭感覚とか壊れてた可能性は高い、そのため天運持ちの半数近くは稼いだ分だけ使い込みプラマイゼロというパターンも少なくないのだ、江戸の初めからざっと六百年、その中で天運持ちはほんの三十人程、曾祖父に祖父と続けて生まれているしおそらく次の天運持ちは俺の死後、軽く四世代以上は先にならないと現れないだろうな、或いは祖父が最後かもしれないが。

とは言え曾祖父の前が平成時代、曾祖父目線でもざっと200年前だ、歴代を見てもここまで離れているのも珍しいし大まかに言って四代に一人は居た江戸の頃から考えると異常だな、まぁ寿命とか短いからサイクル的に早いのだが。それでも曾祖父が生れた時はかなりの大騒ぎだったらしい、数世紀跨いだ天運持ちはかなりの衝撃だったんだろうな、祖父に至っては前例のない二代続けてだからさらに困惑が広がったらしい。

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