間違い探し
「なんと言うかマジでとんでもないな、無理を解ってて言うが治療中とはいえこんなところに居て良いわけないよな、なんと言うか専門の訓練施設で隠居しててもらいたくなってきた」
「普通に無理ね、あそこはマスコミをシャットアウトできないし大学の施設も何処まで守ってもらえるか解らない、それに治療は空気が綺麗なところの方が良いらしいし、ここは排気ガスとは無縁で深い森だから空気は都市部や田舎町を遥か下に置くくらい綺麗でしょ」
まぁそれは正しい、ここより綺麗な空気となると中々存在しないだろう、排気ガスは存在しないし焚き火の煙くらいは有るがおそらく自動車が輩出する量に比べれば微々たるものだろう。いくら時代が流れて電気自動車が主流になろうとも、どれだけフィルターの機能が向上しようとも零ではない、それに空気を汚すのは何も車だけではないしな、都市部なら存在するソレらはここには全く存在しない、コンマの後にいくつ零を重ねた後の一でも零よりは大きい、後は掛け算でその数値は膨大になっていくだけだ。
まぁそれでも、数十年前より遥かに空気は綺麗になっているし、1世紀前と比べれば段違い、半分以下にまでは減っていた筈だが。
この辺りは大学の講義で聞いた覚えが有るから間違いない、物流から見る経済は基本だからな、専門は物流より心理学的なアプローチだから細かな数字は失念してはいるが。
まぁ普段なら資料とかを片手に確認できるがそんなものは此処にはないしな、とりあえず墨巣さんの意見は正しいだろうという事だけは解る、残念ながら焚き火の煙がどこまで空気を汚して人体に影響が有るのか解らないから断言はできないのだが。
とりあえず都市部よりはほんの少しはマシな筈だ、ただそれは空気の綺麗さに目を向ければで栄養面で見れば遥かに劣る、後は練習施設かね、あるいはこのアップダウンの激しく舗装されていない地面が足腰を鍛えるかもしれないがそれは専門の施設には及ばないだろうな。
スタッフもいないし医者もいない、無い物ばかりだが、唯一世間の声からは守られる、ある意味究極の引きこもりだからな。
「正しいし間違いはないんだがな、その答えに至るまでの経過で引っ掛かる部分が多い気がするよ、結果を出してる、この場合は結果が出てるから問題ないんだろうけど」
万感込めたと言うか、思考を巡りに巡らせての答えを返す、何処かが間違っている可能性はものすごく高いのだがこれ以上は議論を深めても意味がないような気もしている、なんと言うか堂々巡りを繰り返す結果にしかならないんだろうな。
ただ間違っているにしろ合っているにしろ、墨巣さんが選んだ以上は口出しできないし、それが最善解になるようにする必要がある、何ができるのかは不明だが必要と思った物は可能な限り実現できるようにするとしよう。




