かなりの怪物
「確かに貴方の、あるいは貴方達の幸運と言うか勝負運の強さはホラーよね、正直に言うと絶対にカジノで同席したい人はいないでしょうね、ルーレットとかは別でしょうけど」
否定できそうにないな、競馬でよく相乗りしてた奴もいたしな、残念ながら俺の場合3日に一レースは外すんだがな、三連単の場合だが。
さて、聞かれてばかりというのも能がない、こちらから聞いてみるかね。
「逆にこっちから質問なんだが構わないかな?」
「ええ、構わないわよ」
「ふむ、じゃあ遠慮なく聞こう、陸上選手って具体的な競技とか聞きたいんだけど、後はまぁ記録かな」
確か走る事とは聞いているが走ると言っても短距離長距離、ハードルに障害物と多岐に渡るからな、百メートルは確定だが彼女の場合は複数競技というか、それこそ陸上全ての競技をやっていそうで怖い、何競技くらい有ったかな? 投擲系の競技もいれると両手じゃ足りないと思うのだが。
「言わなかったかしら? 百メートルと二百、四百、百×四リレーね、一応はハードルもできるけど現実的じゃないから」
まぁ四競技も走れば疲れるしな、流石に一日で走る訳ではないだろうが。
「って言うか、前のオリンピック見てないの、メダルも持ってるんだけど? 後は世界記録も」
「前のっていうと2年前のスペインだっけか、その頃はバイトと講習で忙しくてな梅雨が終わったと思ったらもうクリスマスってぐらいに記憶がない、ついでに言うと祖母が亡くなった時期でテレビも見てないしマジで知らないんだわ、オリンピック選手になれるかもじゃなくて選手なのな」
「本当に知らないようね、百メートルは10.38秒で金、二百メートル22.05秒で金、四百メートル48.28秒で4位、練習でなら去年の夏に百メートルで10秒フラットを出したわよ、肺炎になる前だから今は頑張って11秒台でしょうけど、一応補足しておくと百メートルは女子世界記録、残りの二つは日本記録になるわね」
どうやらものすごく速いらしいという事は解るのだがそれがどれだけ凄いのか解らないのが残念でならない、とりあえず2年後のオリンピックが楽しみにはなったな、後は確実に俺では敵わないぞ、たぶん本調子ではない今でさえ百メートル走でぶっちぎられるだろう、俺の最高記録は13秒半ばだからな、速い方ではあると思うが墨巣さんの背中を見続けるしかない。
と言うか百メートルに限れば世界中の女性は彼女の背中を追いかける事になるのか、流石に男でなら前を行ける奴も数人はいるだろうが。




