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両親について

 「じゃあまぁ、話題に出たし下手したら忘れそうだから親父から話すか」

そう断って。


 「確か元々、高校時代はテニスに打ち込んでたらしくてな、3年のインターハイじゃ全国決勝まで進んでタイブレークからの熱戦で破れたけど相手とはほぼ互角の腕前だったそうだ」

「んで、そのまま俺も通ってた竹星大学の人体学部に推薦入学して、1年目の春に事故って足を怪我した、それもかなりの大ケガで当たり前だがテニスは止めざるをえなかったんだがな、親父からすればやぶ医者に当たったみたいな衝撃で、だったら第二の自分を作り出さないようにってそのまま医学部に編入して医者になったんだと」

「ただ、外科的処置だけでは足りないと思って今度は整骨師、お次は整体師、その次は鍼灸だっかな? いや薬理と漢方が先だったかな? どっちにしろ必要と思った技術はなんでも学んで吸収して昇華していったらしい、それこそ普通なら数年で関連病院とかに派遣されるのを蹴って没頭するくらいにな」


 「後はたぶん墨巣さんの方が詳しいんだろうけど、整形外科それも足専門の医者として有名だそうだ、実際に1年の半分くらいは日本中を飛び回って難しい手術とかをやってるらしいし、ただ経過治療を含めて完治までとなると竹星大学付属病院に来てもらうらしいけど」

 「後は性格とかだけど、残念ながら我が親父ながら不明だ、どうにも影が薄くてな、まるで透明人間に近い、日本中を飛び回っているのにちゃんと顔を見せてくれたり誕生日には必ず帰ってきたり普通に良い人ではあるんだがな、とにかく居るのか居ないのか解らないし居なくても気付かない居ても気付かない、たぶんお化け屋敷のバイトしたら死ぬほど怖がらせるか全く気付かれないかで評価が分かれる人だな」

本当に困った事に伴侶であるはずのお袋でさえ親父を見失うくらいには気配がない、どころか両親である今は亡き祖母と今も憎たらしいくらいに元気な祖父ですらたまに忘れてたしな。


 「次はお袋か、お袋について知ってるのは親父の一つ下の後輩でテニス部のマネージャーやってた事くらいだな、一応竹星大学のOGだって聞いてるけど、その後はずっと専業主婦、お手伝いさんたちと我が家を切り盛りしてくれてる人だよ、たぶん家の規模とか特質に目を瞑れば何処にでもいる主婦だな、特別優しくて甘やかされた記憶もないし特別厳しくて怒られまくった記憶もない、まぁ怒ると怖いけどそんなの当たり前だしな、一言で言えば普通」

なんと言うか改めて家族の事に聞かれると意外に難しいな、何処まで言って良いのかの線引きも曖昧だし、何より普段から意識している訳ではないから言葉に詰まる。


 話しているうちにいい感じに塩が浮いてきたな、そろそろ火加減を間違うと苦汁入りの塩となってしまう、見極めはかなり集中して掛からないとだし、火加減もこれまで以上に注意する必要がある。

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