海水
漁果を手に拠点に戻り昨日から用意していた水汲みようの装備に入れ換える。
「今日は塩を作るから一時的に拠点を離れる事になるけど墨巣さんはどうする?」
そんな問いを投げ掛ける、建築現場と違って磯に居る間は声は絶対に届かないしな、安全を考えるなら俺の手伝いに回って貰った方が良いのだが。
「そうね、どのくらいの時間離れる事になるの? 私としては作業を進めたいけど流石に半日とか言われたら考え直すんだけど」
「あー、難しいな拠点に居る時もあるし、まぁ足していったら1時間くらいかな? 2時間は越えない」
だいたいの予想でしかないが外れはしないだろう、前にも経験はあるしな、むしろ拠点にいる時間の方が長いくらいだ。
「なら作業を進めるわ、昨日運ばなかった鳴子って建築現場? に有るのよね?」
「ああ、昨日持ち込んだのと同じくらいが積んである、まぁ3日は持つんじゃないかな?」
そんな予想と共に告げる、今の作業スピードと照らし合わせると妥当な予想だとは思うのだが実際に作業をしている墨巣さんとしてはどうだろうか。
「まぁそんなところでしょうね、もう少し作業に慣れれば話は別だけど」
確かにそれは有るな、俺も様々な作業を行ううちに馴れてドンドン早くなってるし、あまり日常生活で使う機会はなさそうだが。
「じゃあそろそろ動くとするかね」
そう告げると言うかほとんど一人言だが口に出して立ち上がる、荷物を纏めて磯へと向かう。
土鍋に竹筒それに布を担いで海に到着し濁り具合を確認する、波のせいで解りにくいしまだ日が山影に潜んでいるから微妙だが透明と言えるだろう。
竹筒で汲み上げて汚れを沈澱させる、まぁそこまで砂や汚れが混じっている感じはしないが念のためだどうせ布で濾すのだがやはり気分的に上澄みを使いたい。
見た目には変化のない竹筒の中の海水を布を通して土鍋に注ぎ込む、おおよそ竹筒の半分を基準に残りは捨ててまた汲んで沈澱させる、鍋が一杯になるまでひたすら続けて続けて、大量の海水を汲み上げる。
土鍋に一杯に汲んだ海水を拠点に持ち込み石組の五徳の上に鎮座させ火を起こしてそのまま竹筒をピックアップに向かう、以前と同じく焼け石に水でも追加の海水だ、まぁ一グラムになるかどうかだろうが鍋底にこびりついた分くらいは補填できるだろう流石に二度も三度も汲み上げる気はないしな、これが限度一杯となる。
三度磯へと向かい竹筒を運び込む、その間に沸々と湯が沸きだしている、ただまぁガスコンロに比べれば遅く、竃ならもっと早いんだがな。




