さっぱり
後書きに補足が有りますが読まなくても影響はそこまでありません
さて狸は後でいい、だって狸は食えないのだ、いや食えなくはないのだが臭いし不味い、狸鍋なんてのは大抵が穴熊で、そちらなら美味いのだが。
はてさて、居てくれるだろうか、いずれにせよそろそろ時間一杯、海に急ごう。
代わり映えしない森が竹林に変わり、ようやく見付けた加工しやすい素材に感激しつつ、海を目指す、流石に今から採取するのは時間が足りないが明日にでも数本は確保しよう。もしかしたら筍も採れるかもしれないが昼にはかなり伸びている事だろうし採るとしたら朝だな。
竹林を挟んで森を突破し海岸まで出た所でマーキング代わりに枝払いを過剰にして、木の幹に傷を付ける事で目印を作り、急ぎ足で磯を目指して歩き出す。砂利道だったり土だったり砂だったりと忙しい足下に若干ながらイラつきつつ、それでもいつも通りに食材を確保していく、本日は小さな蛸のみだがボウズよりはマシだ。
かなり暗くなった頃に拠点まで戻り、手元も怪しい中、星明かりを頼りになんとか火を灯し、いつものように食事を作る、満腹感を感じた日より空腹を嘆く日の方が多い気もするが、やはり食事は心と体を癒してくれる。
それでも想定よりはマシだ、来る前は数日の絶食も覚悟していたし、狩場を見付けてもボウズの日を覚悟していたが、量はともかくとして毎日の糧をゲットしている、幸運に恵まれた家系で良かった、オカルトチックな家系だが俺や父のような没個性でもクジを買えばそこそこの確率で小当たりが出る程度には運が良い、でなければ水を得る事も毎日の食料も無かったかもしれない、長続きするかは別としてだが。
食事を終え、それでもの空きっ腹を抱えて水の確保を済まし、寝袋の中の人に変わった。
何度目かの朝も空腹で目覚め、今日も当たり前の日常として食料の確保を済まし、拠点に戻る。
昨日と同じく漂着物探しと行きたい所だが、そろそろ体の汚れも気になってきた事だし、風呂と洗濯と洒落込もう。
火を起こしお湯を沸かし、服を脱いで全裸になる。
お湯に浸けて固く絞ったタオルで体を拭き、泉から流れる小川で肌着を洗う。ドラム缶でもあるなら頑張って水を運んでドラム缶風呂に浸かるのだが、今は体が拭くのが精一杯だ。
体を拭いた事で心持ちスッキリとした気分で昼食の準備を済ましつつ、微妙に冷えた体を暖める。この状況だと風邪も馬鹿にできない大病だし、熱で動けなくなれば食料を獲られず病気は長引く悪循環を生み、最悪の場合はリタイア一直線となる、ネガティブ思考かもしれないが、かなり切実な理由で注意を払う必要がある、安全のためならネガティブ思考上等だ。
昼食後、水の補充を済まし、最低限の荷物だけを持って海にでる、既に満ちてきたいつもの磯の近くに入れ物変わりの鍋を隠し、そのまま浜辺を突き進んでいく。
のんびり進んで1時間半程で目印の木々に到着し、かなり派手に木を斬り倒してルートを作りながら進む、適度に足下の木っ端やら枝やらを片付けて竹林までの道筋を建て、手近な竹を鋸で斬り倒していく。
ルート開拓で時間の猶予も無いし、今日の所はある程度の数を斬り倒して、運び出すのは明日からにしよう。
高田一族の幸運について
高田家には幸運な人物が多く、その最たるが健太の祖父や曾祖父等の天運持ちです、ですが天運を持たない健太や健太の父でも一般人以上には恵まれており、金に困った時にギャンブルをすればある程度は賄え、日常的にやっていても生活の足しになるくらいには稼げます、健太は父と比較して運が良い方で父親が足しになる程度を稼げるとしたら健太は慎ましやかな生活を送れる程度には稼げます、因みに祖父達の場合は一点特化で振りきれているのでカバーできない範囲については一般人と同じかやや上程度の運しかありません。
例として祖父の場合は投資ならテキトーにやってもかなり稼げますがギャンブルなら負けが優勢となる感じで曾祖父の場合はギャンブルなら勝てますが急に雨に降られたり傘を盗まれたり目の前で電車のドアが閉まったりといったツイテナイ事には合います。
また健太は祖父を常勝不敗の化け物と言っていますが知らないだけで、絶対に勝つという訳ではなくトータルで勝ち分が上回るというだけで短期的に大損する事もあります、健太がギャンブルで稼げるのにカードタブレットを買い換える資金を調達しないのもこれを恐れてです
なお、祖母や母の場合は嫁に来た身ですので一般人と同等ですが伴侶を考えれば上かもしれません
また一般人の定義は駄菓子やアイスの当たりがたまに出て、数年に一回クジで元を取れるくらいと考えて下さい。
