確認
「これはダメだ危険過ぎる、諦めて戻ろう」
そう声を掛けて拠点に戻り薪に被さったままの布を剥がす、なんとか耐えてくれたらしいが所々破れてボロボロだ、幸いにして薪もそこまで飛び去っていないらしく見た目で減った感じはしない。
とは言えかなり濡れて湿気ってしまっている、これでは薪には使えそうにないし乾かすにしても地面もドロドロの水浸し、少しでもマシな場所で干しては見るが天候が回復したとしても明日まで使えそうにないな。
とりあえず拠点の周りから確認していくが折れそうな枝や、皮一枚で繋がっただけの枝、完全にへし折られて何処かに消えたらしい枝、流石に根本から折られた木は無かったがそれでも片付けは必要となる。
墨巣さんと手分けして中途半端に折れた枝を切り落とす作業を進めて一通り、いや一回りか、いや正確には拠点周りを半周してそこそこの量の枝が切り落とされ、その分だけ薪が増える、俺だけでコレという事は墨巣さんの分が加わればもはやこの冬までは薪に困らないぞ。
拠点周りのチェックも済んだ事だし警戒網の方に行くのは確定として、墨巣さんの作業が遅れているしフォローに回るかね。
再び木々の間を抜けながら作業を進めるが幸いと言って良いの不明だがそこまで折れた枝は多くない、サクサク切り払いドンドン進んでいく。
しかしこちら側は被害が少ないな、風向きは南から北に向けてだったから東西でそこまでの差が出るとは思えないのだが地形とか樹齢とかが関係してるのかな? 或いは局地的なダウンバーストに似た現象でも起きたのか。
ある程度進んだところで墨巣さんと合流し大量の薪を追加する、本当に冬まで持つかもな、少なくとも馬鹿みたいに使わなければという但しが付くが4ヶ月くらいは余裕だぞ。
念のためもう一度拠点の周りを確認してから今度は警戒網の確認に移る、幸いにして見える範囲で切れていたりはしていないが全てを見通せて居るわけではないし何処かに切れ目が有ると考えていた方が良いだろう、ただ残念ながら鳴子を重ねていた位置には数十は積まれていた筈のソレがほんの十本が残っている程度で、残りは飛ばされたらしい、流石にここまで気が回らなかったからその結果がコレか。
ある意味において布を使った保険の有効性が証明できた事になるが全く嬉しくはない、近くの枝に引っ掛かっていたものも幾つか回収できたがそれら以外は何処かに消え去った、或いは何処かでふと見付かる事も有るだろうが期待は薄い。
後を墨巣さんに任せて建築現場に向かう、さてこっちはどうなっていることやら、全部吹き飛んでたりしたら1週間くらいは立ち直れない自信が有るのだがネガティブ過ぎるかな? いやまぁ最悪の想定をしておけば身構える事ができるし杞憂で済んだならそれで良い、頭の片隅に留めておくくらいなら問題無いだろう。




