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損害

 魚を捌いて塩を掛けた変則的なお刺身を昼御飯とし、全く腹の足しにはならないが動かないなら最低限のエネルギーにはなってくれるだろう。

 そのまま静かに座して時間が過ぎるのを待ち続ける、ずっと降り続ける雨が木の枝や木の葉や地面、岩、テントに当たっては弾ける音を聞きながら、ビュービューと吹きすさぶ風が、それに揺らされる木々の枝の音を聞きながら、ただ穏やかな気持ちで時間が過ぎるのを待ち続ける。

倦怠感を共に雨音に耳を澄ませるのは風流だがその実かなりの大音響で風流とは程遠い、ただ時間が過ぎるのを待つ感覚は禅に近いんじゃないかな、まぁただ時間が過ぎるのを座しているだけだから禅の真髄とはやはり程遠い。


 夜も近付く頃、ようやく雨がポツポツのほぼ気にならないレベルに落ち着いて雷様も太鼓を叩くのを止めたらしいが風神様だけはまだ血気盛んらしくビュービューと音を鳴らしている。

 さて、残った魚を捌いて刺身を作り焼き干しを加えて量を補填し夕食とする。

なんと言うかとんでもない休暇になってしまったな、休めた感じは全くしないが眠れば明日にはかなり回復している筈だ。

少なくとも今日より酷くはないだろうし、無理さえしなければ十分に動けるだろう。



 いつの間にか寝袋にも入らぬままに眠りに就いたらしいが、体の方は随分と回復していた、若干の疲れは残ってはいるのだが無理さえしなければ明日には回復できるくらいの疲れでしかない。

 これで倦怠感を感じるようならもう1日休むのだが、有りがたいことにソレは全く感じていない、とは言え天候が回復さえしていればという前置きが必要にはなるのだが少なくとも風の音も雨音もしないから大丈夫だろう。

テントから顔を出して空を見上げれば完全な暗闇が出迎えてくれた、夜明けも近いというのに雲の傘が空を覆い尽くしているらしい、これはまた一雨来るかもな、或いは昨日の入道雲が梅雨前線でも連れてきた可能性もある、そろそろ7月だから梅雨明けも近いと思うが安心は禁物だ、まだもう少しもうしばらくは警戒たな。


 テントからノソノソと這い出て体を動かしまだ眠気と闘う脳を叩き起こし、川で顔を洗って気分も一新、ストレッチも済ませたところで磯に向かう。

 荒れに荒れると言う感じではないが波はかなり高い、これはどう頑張っても水を抜くより入ってくる水の量の方が多いし最悪の場合は波に拐われて漂流だ、残念ながらこんな状況では漁は不可能となる、食糧は欲しいが安全が第一。

諦めて昨日の雨風による被害が無いかの確認をするとしよう。

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