モニュメント
お食事中の方ご注意下さい
潮溜まりでの狩りと漂着物から使える物探し、遅い朝食兼昼食という一連の流れを済ます、今日も探索だな、この数日は雨が降っていないが何時かは降る、それまでに備蓄として野草の確保は必須となる。
昨日切り開いたルートを辿り、動物の痕跡を見付けた箇所まで進む、海に出るルートと違い、過剰なまでに枝払いをした訳ではないし、この数日で踏みかためた訳でもないため歩きにくいが、それでも昨日よりはマシだ。
昨日の半分とはいかないまでも、一時間は縮めて傷の残る大木に到着した、今日もある程度の枝を払ったし、明日もこのルートを使うから明日には更に短時間での移動となるだろう
この木は解りやすい目印でもあるし、ゲームで言うセーブポイントだな。
さて、昨日は北北西に進みながら何かを探してこの大木まで歩き、そこから南東に歩いて海に出た、ならばここから更に北北西に進んで、森を抜けるまで行ってみよう。
「おいマジかよ」
俺が久々に発した言葉はその一言だった『いただきます』とか『ごちそうさま』を除けば下手をすれば上陸して以降初かもしれない。
それだけ目の前の光景が痕跡が、異常であった。
動物の痕跡は多岐に渡る、例えば足跡、例えば枝に絡んだ抜け毛、例えば爪研ぎやなんかの後、昨日見付けた大木の傷なんかはよく見ないと発見しにくい痕跡で、今目の前のあるのは痕跡というかちょっとしたモニュメントだった。
高さも範囲も申し分なく、うず高くこんもりと積まれたソレは、動物が残す痕跡の中でもおそらくは最も多いであろう痕跡、糞だった。それも大量の、ちょっとした小山になった大量の糞、こんな事をする動物を俺は狸以外に知らない、目の前に有るのは間違いなく狸のため糞だ。
とりあえずその場から離れ、思考を巡らせる、あれは一匹やそこらではなく数日やそこらではない量だった、少なくとも周辺の群れが情報交換の場として長期に渡り貯めに貯めた結果だろう。だが狸が泳ぐなんて話しは聞いた事がない、いや仮にも犬の仲間だし泳げたとしよう、それもかなり達者な泳ぎを見せたとして、海を泳ぐだろうか? 川とか池なら百歩譲って泳ぐだろうが海を泳ぐだろうか? 千歩譲っても見える範囲の向こう岸とか島を渡るくらいだろう、少なくとも群れを維持できるだけの数が渡る距離にはこの島は無い。
何時かは判らないが、少なくとも数年という単位は越えた過去に、何処かの誰かがこの島に動物を連れ込んでいる、それも最低でも二種類、可能性があるとしたらこの島を購入した曾祖父か祖父だが、曾祖父は購入してすぐに他界し、祖父もそんな事をするとは思えないし購入前に調査した筈で野性動物の事を聞いた覚えは無い。購入してから誰かが持ち込んだと考えるべきだろう。
条件設定の時にもう少し詳しく聞くんだった、と今更ながら後悔した。
お食事中の方申し訳ありませんでした




