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性癖

 会話を切り上げ、電話を切ってテントに戻る、結局言葉を掛ける事もなくどうしてもタラレバを考えてしまう、だがそれを悩むのは俺ではなく彼女の特権だ、相談もされていない状況では何もできないし、されたとしても手助けするのは不可能だ、俺では人生経験も知識も何もかもが足りていない、おそらく祖父でも無理だ、だから考えてしまう、何かできる事は無いかと、そんな事を思案しながら眠りに就いた。



 目覚めの瞬間は何時でももう少し微睡みたいという葛藤との戦いだ、もう少し眠っていたいと瞼が下りてきて、程よい倦怠感と睡眠欲が体を支配していく気持ちよさ、このまま二度寝できたら最高という状態を味わっていたい。

 だが残念な事に起きなければならない、無理矢理に体を起こして瞼を開く、寝袋から這い出て伸びを一つして体を解し、そのまま起き上がってノソノソと着替えを済まし、テントから出てまだ薄暗い空を見上げて深呼吸を一つ、体をバキバキ鳴らしながら川へと向かう、その頃になるとゴソゴソと墨巣さんのテントから物音が聞こえてくる。

できるだけ視線を外して川へと向かい顔を洗って、冷たい水で目を覚まし睡魔を追いやる、この瞬間も嫌いじゃないんだよな、睡魔に打ち勝ち体も頭も一気に叩き起こす感覚、微妙に体を酷使する感覚が好ましい、なんだろう、ドMとかなのかね、そこまで倒錯した性癖を持った覚えは全くないのだが。


 さて頭も動き出した、サクサク漁に向かうとしよう、昨日のレア祭りもあったしリバウンドの目は高い、可能な限り時間に余裕を持たせて時間を掛けて魚を手に入れたいところだ、あるいは杞憂であってほしい。

 とりあえず荒れもせず、かと言って凪いでいるわけでもない、程よい白波を揺蕩う(たゆたう)海は昨日までとほとんど変わらない。

そろそろ朝日が顔を覗かせて島陰となる切り分けたように海の色が異なるコントラストが見れる事だろう、そして潮が退き始める時間帯でもある、さぁ漁の時間だ。


 蠢いている感は全くないな、隠れて潜んで静かにしているのかはたまたいないのか、これは手を替えた方が良さそうだ。

 まずは下段でホースをセットして水を抜いていく、ここでせめて何時もの三分の一くらいは取りたいな、焼き干しが有るとは言え消費量は可能な限り抑えたい。

鍋とホースで水を抜き焦って出てきた魚を捕らえていく、だがやはり少ないな、どうやらリバウンドの時期に入ったらしい、数日で済んで欲しいんだがこればかりはどうしようもないしな、とりあえず墨巣さんにも伝えておこう、正直意味は解らないだろうし、あまりにも特異体質過ぎるがこれが我が家のスタンダードだ、少なくとも春先までは一緒な訳だし今のうちに慣れてもらおう。

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