成長
ホースを使った水抜きによる漁はやはり楽だな、何もしていないのに水が勝手に抜けていく辺りが尚良い、セットして吸うだけという初期動作だけで後は自動で俺が鍋で掻き出すよりやや遅い程度で水が吐き出されていく。
使い始めた頃は同等くらいだったのだがな、俺の汲み出し技術もかなり成長したものだと実感してしまう。
効率良く、素早く、確実に水を掻き出す動きは努力と慣れにより当初より早くなっている。
対してホースの方は基本的に一定だからな、とは言え成長にも限界があるから分単位の差は秒単位の時間に変わるだろうがそれでも少しずつ早くはなるだろう。
まぁその分を費やせる作業は多々あるが有効活用するには少しばかり短いな、移動分くらいにはなるだろうからほんの少しだけ小細工や掃除ができる程度だが効果が大きいとは言えない。だが塵も積もればで数日掛ければ少し払えば早い進捗になるだろう。
魚を手に拠点に戻り、早速作業の準備に取り掛かる、とりあえず昨日切り落とした枝を纏めて拠点に持ち込む、細い太いが有るから教材としてはかなり使えるな巨大サイズは幹を斬り倒してからで言いわけだし。
抱えた大量の薪を地面に置いて墨巣さんのお勉強の時間といこうか、ものすごい勢いで釣糸と格闘してるから声かけにくいけど。
「あー、集中しているところ申し訳ないんだが、少しお勉強の時間になる」
「何? その枝で何か作るの?」
「まぁ作ると言えば作るになるな、これを薪に加工する」
手短に意図を説明して大小様々な枝を並べて大きさで分類していく。
「まずこっちの細いやつは焚き付けの時に使ったりする、こっちの少し太い奴は少し切れ目を入れておけばやっぱり焚き付けに使える、どっちにしても1週間くらいは乾燥させないとだけど」
そう言いながらナイフで作業を手早く済ませる、この辺りは流作業で片付いてしまう程度には慣れた、加工を終えると焚き付け用に細かい枝や皮を集めたエリアに加えておく、後はどこかのタイミングで乾き具合から使用する事だろう。
「で、このくらいの太さになると中々乾かないから半分に割るなりして切れ込みも入れておけば少しはマシになる、鉈借りるよ」
差し出された鉈で枝を適当なサイズに切り分ける、やはり手元の作業だと斧より楽だな、ただ刃は斧より広いから注意はより一層必要になるが。
「で、このくらいのサイズになると流石に割るだけだと間に合わないから皮を剥いでさらに縦に割る」
一番の大物を含む数本の枝の皮を丁寧に鉈とナイフを使い分けて剥ぎ、小分けにした後、一気に割っていく、なんか薪割りしてるって感じの光景だな。
後はそれぞれを対応するサイズの場所に積めば作業は終了だ、僅か1時間足らずの授業はさて有益な物となっていれば良いのだがな。




