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連想ゲーム

 「どうして解るのよ、普通に考えて貴方と分けるのが当たり前じゃないの」

まぁその辺りの事情を知らないわけだし疑問も当然か、俺の好みとか知ってる筈はないしな。


 「あぁ、黒蜜と桃は俺が苦手な食べ物でな、親も祖父もそれは知っているし、後は単純な連想だな」

 実際は食べれなくはないのだが、そこまで掘り下げる必要もないだろう、好みを言える状況ではないが好むところではない以上、祖父の意向を汲んでおいた方が無難だろう、この間の貸しがチャラではないが少しは軽くなるだろうし。

「あー、まぁ好みは人それぞれよね、私に言わせれば両方とも毎日でも食べたい訳だし」


 返答に困り、仕方なく無言でホースの準備とかしながら漁に出る事を行動で示す。

 どうやらまだ会話に慣れてないな、咄嗟の返しにまごついてしまう、これが家族や気心の知れた友人なら口汚く罵りあえるのだが、そういうわけにもいかないしな、友好関係には有るがそこまで気心知れてはいないし。

この辺りのさじ加減はもう少し会話に慣れないと危なっかしくて口を閉じてしまう、言ってしまった言葉を無かった事にはできないが言わなければ問題はないのだ、せめてもう少し慣れるまで、気心の知れるまでは危ない橋は避けていこう。


 墨巣さんを連れ立って森を抜けてそのまま磯に向かう、そこからは別行動となり、俺はホースを使って水を抜き潮溜まりに残る小型から中型の魚を狙い、墨巣さんは銛を使って岩影に潜む中型から大型の魚を突いている、なんというか感想としては喜ばれない表現だろうが雄々しい背中だな。

 女性に使うにはどうかとも思うがかなりワイルドだ、少なくとも俺では不可能だった成果を今日もまた上げている、凄まじいと言うか単純に尊敬してしまう、と言うか親父が知るレベルのトップアスリートなわけだし、本来ならオリンピックの舞台に立っているのを新聞やテレビで見るような人なんだよな。

サインとか貰っといた方が良いのかな? 書くものは無いし有ったとしても保管もできないから汚れる一方だけど。


 本日も大量に魚を手にし、拠点に戻る、とは言えそろそろ焼き干しの交換の時期の筈だ、墨巣さんが来てからどうにも時間の流れがズレている感じがするため確信はないが、そろそろではある筈。

 仮に間違っていたとしても大した事でも無いし問題はないだろう、むしろ累積山積した作業の方が問題だ、墨巣さんの手を借りていると言うのに一向に進んでいないし、いい加減誤魔化しや言い訳が効かないくらいに作業が遅れている、そろそろ7月、台風が出始める季節だ、早く乾燥場を作らなければ待っているのは地獄。

二人して焼き干しをかじるだけの日々を過ごす事になってしまう。

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