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始まり

「健太お前、親父の島へ行って1年過ごして来い」

 唐突で全く要領を得ず意味すらないような言葉を俺は確かに聞いた、3月も終盤、大学の卒業式を終え就活失敗の報告に実家に戻り、親父への挨拶もそこそこに祖父と三世代、手土産の酒を酌み交わしながらの最中って事を考えても酔っぱらったのではないかと思いつつ

「親父の島って言うと大中火島の事?」

祖父が親父の島と言うならソコしかあり得ないが念のため聞いてみた。

「そこだ、温暖だし危険な動物はせいぜいが蜂くらい、黒潮近くで豊富な漁場、悪い所は台風が良く来るくらいだ、何も素っ裸で放り出すって訳じゃないし、受けるならお前にとって嬉しいご褒美も有る」と答えた。


 祖父がご褒美というならソレはかなりの物だろう、先ほどの例で言えば築財の方が強く、金を溜め込むタチだし、実際テストで100点のご褒美は希望に沿って斜め上を行ったくらいだし。

「ご褒美って具体的にはなんだよ、今回はテストで100点とか発表会で賞取ったとかじゃなく、無人島でサバイバルだ、当たり前だけど生半可じゃ受けられないよ」と予防線を引きつつ、然り気無く祖父が用意しているであろう報酬の上乗せの布石を打つ。


「まずはお前が大学と高校に使った奨学金、これを儂が払ってやる、二つ目に就職の口利きだな、三つ目に欲しがってたバイク、こんな所だろ、額としちゃ1年働くより多いぞ、生前分与にならないようにもしてやる」ととんでも無いことを言い出した、地元の公立校とは言え奨学金とか1000万を越えてるし、欲しいバイクも原付き等ではなく大型のアメリカンバイク、やはり7桁は越えてくる。


 祖父なら余裕で出せるだろうし、追加で就職の口利きまでしてくれる、今のご時世、新卒以外の就職は不可能に近く、中途採用は僅かにある程度と聞いている、正直に言って就活に失敗した時点でじり貧、打開策もなく、中途採用に賭けるにしても倍率は新卒より高くなる。ならば話に乗っておいて損はないだろう、問題となるのは条件と更なる追加報酬を望めるか否か、この二点のみだ。



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