好み
久々のテントの中と寝袋は安眠と熟睡を与えてくれて、昨日までのダルさや疲れが嘘のように吹き飛んでいた。
これなら全力で動き回れるな、疲れるからやらないけど、とは言え体が軽い、かなりの作業が進みそうだな。
朝のストレッチを済まし久々にズボンを変えて洗濯する、昨日の夜から干していた物が乾いていたおかげだな、流石に墨巣さんから返して貰った物をそのまま履くのは変態過ぎるし荷物が届いて即座に洗濯してくれたおかげとなる。
さて、今日もまた漁に出るとしようか、そう言えばになるが風呂も墨巣さんが流れ着いてからはまともに浴びていないな、墨巣さんは川で軽く体を洗ってはいたが俺は必死過ぎて忘れてしまっているが、かなり汗臭い。
予定を変更して椅子よりまずは風呂だな、水浴びなら池の近くの方がやりやすいし、案内も含めて午後にはスッキリするとしよう、流石に墨巣さんの前でお湯を沸かして素っ裸は問題が有りすぎるし。
ホースをセット、水を吸い出し残った魚を捕る、今日はハゼが多いな、個人的にはハゼよりアジ、アジよりゴンスイの方が好きなんだがな、ただまぁ今まで捕れた魚で言うならやはり鰻になるのだが。
一度拠点に戻り魚を置いてからまた丘を下って竹林に入る。
「見ての通りになるけど、ここが竹林、真竹だから筍は少し苦いけど食べられなくはない、ただ時間に余裕がないし灰汁抜きとか面倒で手を出してない、でそこに転がってるのがけっこう前に切り倒して水分を抜いてた奴、ある程度の量とがあるから自由に使ってくれて構わない、ただ運ぶのは注意した方が良いし俺がやるよ」
先んじてやっておく、ほんの十数分遅れは出るがここを逃すとタイミングが合わなくなる可能性が高いからな、前倒しで済ませておこうと墨巣さんを連れ立っての強行となるが問題はない、いや強行ではないか、単純に予定の前倒しだな。
太さと長さを吟味する墨巣さんを見ながら警戒を緩めずに油断なく、ではなく良さそうな竹を探してみる、十分な量が転がってはいるが補充を考えてしまうのは習い性と言うか、癖みたいな物になってしまっているらしい。
余分に持ち帰っても良いし切り倒しても良いのだが時間がな、建築現場には大量の竹が積まれているし、切り倒して乾燥中の物も大量にある、ここは我慢だな。
「とりあえずコレならちょうど良いと思うからコレにするわ、予備と合わせて三本だけど大丈夫?」
墨巣さんがしっかり掴めるくらいの太さの物が三本、余裕も余裕だな、ロープで束ねるまでもなく担ぎ上げる。
拠点まで運び込み、後は墨巣さんに任せる事になる、と言っても今日1日は釣糸との格闘となるが、そこは予定通りにやってくれるだろう。
俺も俺でトイレ作りだな、枠組みを補強して固定、見た目は六脚で中央に穴が空いた椅子というものすごく不恰好な物だがさて強度は大丈夫だろうな。




