現実
大量のロープやらを新たに張ったテントに運び込み、元のテントを掃除してようやく引っ越しは完了となる、とりあえず今晩からはぐっすり眠れそうで嬉しい限りだな。
さて、まだまだ時間は有るし許す限りトイレ作りを進めよう。
とりあえず仮りで組み立て、後は補強と調整を残すだけとなる、補強くらいなら1時間も掛からないし、明日の昼頃、荷物が届く前には調整も済むだろう。
さて夕食の食材を捕りに行く時間だ、食事が終わったらすぐに寝よう、流石に今日は疲れた。
水抜きで魚を捕り、今回は墨巣さんに薪を任せるとしようか、渇き具合や組み方を考えないと簡単には火は着いてくれない、特に深夜の雨で若干の湿気りがある、きっちりと干してはいるがその渇き具合は様々だ、適切な物を選ばないと火は灯らない。
「今回は薪を組んで貰おうと思う、薪の選択と空気の通りを考えた組み方をしないとご飯は生魚になるぞ」
脅しを入れつつの指示を出して地面に座る、新しく椅子代わりの物も用意しないといけないな、そっちも明日になるがその時間は容易に用意できるだろう、少し手間だが仕方がない、やれる間に済ましておこう。
組み方は俺を真似た物を作り、問題無いが木の乾燥具合はまあまあだな、とりあえず目に付いたものを選びましたって感じで生乾きの物が多い、雨の降った後の着火は初めから一気に薪を使っても無理だからな、苦心した所で燻る火種が燃え移るのは至難だろう。
「少しアドバイス、今日は雨が降ったから湿気ってる、乾いた少量の薪で火を起こして少しずつ薪を追加しながら大きくしていくと良い」
アドバイスって言うか答えになってしまったな、まぁ長々と時間を掛けても仕方がないし、経験にはなっているから大丈夫だろう。
灯った炎で魚を焼き、食事と調理を楽しみながら楽しい会話と洒落込みたいが我が家では食事中の私語は厳禁という祖母からのお達しが根付いている、感想を述べる以上の言葉を俺から出すのは不可能で返答に終始してしまう。
亡くなってもうすぐ2年だが染み付いた癖は抜けないし躾は心の奥底に刻まれている。
食事を終えた所でこれからの予定を含めた会議といこうか、この数日でかなりの予定がストップしてしまっているし、一度整理もしておきたい。
「えっと、とりあえず明日以降の予定と確認をしたいんだけど良いかな?」
「別に構わないわよ、現時点で急な予定は無いし入らないから」
そんなジョークにはあえて触れずにいこう、つまらないとかではなく必要性が有るしな。
連絡事項は幾つか有るが先んじて
「んじゃ、まずは大前提、今はサバイバル中、貴女は裁判待ち、遊びじゃないOK?」
そんな現実を突きつける所から始めるとしようか。




