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漂着物

 いつものように朝の狩り、今日は木の棒を削り出した銛も持っていく、先を二股にして削った物だが簡単にへし折れる使い捨てだろう、将来的には石を使った銛を作るつもりだ。どこの原始人だよと己に突っ込みを入れたくなるが、原始的な生活をしている以上は仕方がないような気がするが、そこは気分の問題だ。

 銛を片手に森を進み、海に到達、相も変わらずの潮騒に耳を澄ませる事もなく岩場に突貫する。


 磯はいつものように退いていて、入り江となっている、溶岩が冷え固まったからか地面の隆起の影響か、この磯の地形はかなり複雑で海底の起伏が激しく、満ち潮であればただの海なのに、引き潮となれば入り江に早変わり。

 サバイバルキットに釣り針と糸も有ったが、俺に釣りの知識や能力はない、まぁ設置罠としては使えるだろうが、場所の選定さえ済ませば擬似餌でも作ってセットするつもりだ、目印となり浮きとなる漁業用のブイなら幾らでも拾えるし、繋ぎ止めるロープも強度に難があれど拾えはする、ここでやったら根掛かりしまくるだろうが。


 とまれ、今は潮溜まりの狩りと、岸の近くを彷徨く小魚を狙った銛猟となる、まぁ銛にかんしては簡単にはいかないだろうが、何せ一本しかないし、一発でもミスって岩場を突いた時点で銛から木の棒にランクダウンするし、練習無しの一発勝負だ、ミスを覚悟でやるしかない、材料はそこら中にあるし十分もあれば作れるしな。


 一先ずは潮溜まりを見に行く、この数日で慣れた水を掻き出す工程を済まし、ハゼの仲間だろう小魚を確保し、銛を岩に突き刺し駄目にするという虚しい結果を持ち、拠点に一度戻った。


 テントの中に魚を隠して、今日も漂着物の選定に入る。今日もまた一段とゴミゴミしていて、昨日との差異を見出だせないが、そこは量の問題で昨日は一部しか見れてない、今日も一部が限界で明日も同じ。全ての漂着物を一通り確認するには一週間は掛かるし、終わる頃にはまた新たな何かが流れ着き、古びた何かが流れ行くサイクルを繰返し、全てを調査するなんてのは無理難題と言えた。


 それでも意気揚々とゴミとしか見えない山を掻き分け『コレは』という何かが眠っていないかを確認する。

 まるで宝探しのような一連の流れはガキの頃を思い出す、それこそ裏山で拾った綺麗な石を友達に見せびらかしたり、古いブルーシートやら段ボールやらで秘密基地を作っていた頃のような、そんなノスタルジックな思い出に浸れる、まぁ実際の所は命を繋ぐための探し物でお遊びが入る余地がないのだが。


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