ポイズン
ホースをセットしての吸出しで今日はどういうわけかゴンスイが多めだ、なんだろうか、この数日毒持ち生物をよく見ている気がするのだが気のせいだよな、むしろ地上生物の方がインパクト強くて記憶から抜け落ちているから比較できないのが残念というべきか微妙だな。
傍らで銛を振るう墨巣さんの方はカサゴとか捕ってる、うん? いやマズイだろ、普通に素手を伸ばしてるし。
「ストップストップ、触っちゃダメだって」
慌てて制止してフォローする、カサゴの危険性くらいは知っている物だと思っていたのだが、俺も鶴子に聞く前から知ってたくらいだし一般的知識だと思っていたんだがな。
「何? いきなり、びっくりしたじゃない」
そんな危険性とか全く理解していない様子の墨巣さんにとりあえず理解してもらおうか。
後、気のせいだよな、毒持ち生物はそこまで見ていない筈だ、比率で言えば何時だかの河豚ゴンスイヒョウモンダコの三体という前例も有るし。
とりあえずカサゴの危険性とついでにゴンスイの危険性を教えておく、念のためにエイとかカツオノエボシとかも教えておいた方が良さそうだし、今晩はお勉強だな。
夕食のための焚き火を一発で着火した事でとりあえずセンスは非常に高いと言うか、墨巣さんの言うほど不器用という事では無さそうだな。
夕食としてゴンスイの塩焼きとカサゴの煮付けを食べ、海の危険生物のレクチャーと行こうか、ただ残念な事に俺の知識も聞いただけで実物を見たものも少ないのだが画像は見せて貰っているしその危険性も知っているし、最低限の忠告は可能だろう。
「飯も済んだ所でお勉強の時間だ、流石にカサゴを触ろうとするようじゃ安心して漁を任せられないし」
「まずは赤エイだな、たぶんテレビとかで見たことくらいは有るだろうけど平たくて丸い体に細くて長い尻尾が特徴的な魚で尻尾に棘があって刺されたらかなり痛む」
その後もガンガゼやカツオノエボシ、イモガイ等を例に挙げて、磯の危険性をレクチャーしていく。
非常に残念ながら実物がないから口頭説明だが、知らないよりは知っていた方が良い、百聞は一見というが知らぬ恥が命取りにならないようにはしておきたい。
一通りの説明を終えて質疑応答に可能な限り答える、刺されたらどうなるかとかは知らないが毒を持つ以上、刺された時点でアウトだ、残念ながら解毒薬もなければ病院もない、緊急連絡してからどれだけ急いでも1日は掛かるのだから応急処置だけでは間に合わずと言うことも考えられる、そのため毒の種類とかは答えずに危険性だけを説き。
細かな特徴を挙げて少しでも安全の確保の為の時間となる、俺としても復習になるから有難いしな。




