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三日目の夕食

 今日は気持ち多めに貝を拾う、潮干狩りには砂場が狭いが明日は試しに掘ってみよう、アサリやシジミでも取れれば潮汁とかを楽しめる、虎の子の料理酒を使った酒蒸しなんてのもオツだろう、一献を楽しむには向かないだろうし、量も然ほど無いのだが気分だけでも味わえる筈だ。


 さて、鍋の縁でトコブシと岩牡蠣を剥がすという荒業で種類が集まった、日が暮れる前に帰ろう。

 テキパキと火を起こし鉄板を乗せて貝をその上にセットする、焼き上がるのを待つ間に水の確保を済まし、箸と串を削り出す。


 貝からぐつぐつと出汁が溢れ、美味しそうな匂いが漂ってきた、醤油をスタンバイし、皿替わりの鍋を片手に浮いた殻をナイフで慎重に剥がして牡蠣を食べ、刻んだトコブシに肝と醤油を合わせたソースを絡めて食べる。

 気分は鮑の肝焼きでバターやワインがあれば、なお良いのだが言っても仕方ない、かと言って考えないようにするのは不可能である。


 食べ進める中で苦味の方が強くなり、ついには苦味しか感じなくなっていたが、それでも無理矢理口に入れて飲み込む、最後の一つを食べ終えてから荷物の中から薬を取り出す。

 計画を聞き、買い物を終えた次の日には親父が祖父に交渉して用意してくれたビタミン剤である、壊血病を予防するために三日に一錠を飲むだけで充分な量のビタミンを摂取できる代物であり、渡された時には意味が解らなかったがサバイバルの本を読み込む中で危険性を知り、親父に感謝した。

どうやって祖父を説得したのかは謎だが、印象通りの影が薄いだけの人ではない、あの祖父の息子というだけで影が薄いだけとは言えないのかもしれないが。


 星が出てきた所で火を消し、星と月の光りの明るさに驚愕しながらテントの中で眠りについた。


 朝、いつものようにチュンチュンピーピーと鳴く鳥の声を受けて目覚める、流石に疲れが出始めているがそれでもまだまだ、やる気や活力は萎えていない、せいぜいが煙草を吸えないイライラくらいでヘビースモーカーではなかった事が幸いしてか我慢できなくはない、イライラはするが。


 さて、本日も朝の狩りといこうか、今日は貝以外を重点的に探そう、しばらく貝類は食べたくない、贅沢言える状況じゃない事は理解しているが食くらいは充実させないと心が折れてしまう、長く続けたいなら心に余裕は大事だ。


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