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センスの差

 さて、話も盛り上がってきているがそろそろ漁に出ないといけないか、けっこう話し込んだな。

「そろそろ食糧の確保に出たいんだが、どうする? 此処で待つか付いてくるか、どっちにしてもゴリラと会う可能性はあるけど」

そう切り出す、正直に言えば俺も不安で堪らないから着いてきてほしいんだが、強がってしまう辺りが悲しい男の性だな。


 「付いてくわよ、貴方と一緒にいた方がまだ会わない確率高いでしょ?」

そんな答えが帰ってきた、なるほど俺の幸運なら或いは低いかもしれない、なら少しでも確率を上げておこう。

「じゃあ折角だし出ない方に賭けるとしよう、もしも出たら今日の食糧は全て進呈するよ」

無理矢理勝負に持ち込んで退路を絶ち、悪い目を潰す、運要素が強い場面ならまず潰せるし、今回はかなりその要素が強い、まぁゴリラの気紛れという目も有るから五分五分が七分三分に持ち込んだくらいだが。


 とりあえず何事もなく磯に到着しいつものように水抜きから始めて幸先良くタコを手に入れる。

「食糧確保って言うから釣りとか銛漁って思っていたんだけど違うのね」

そんなキョトンとしたというか、呆れたような口調が胸に刺さる、地味だが食糧確保率高いんだけどな。


 「残念だが銛漁はかなり昔に諦めたよ、それにこっちの方が効率良かったりするんだ」

そう答えてひたすら潮溜まりを転々として小魚やタコを手に入れる、なんと言うか豊富に捕れてるな、やはり墨巣さん込みで幸運発揮中らしい。

「へぇ」

墨巣さんはそんな短い返答と共に岩場に立つと銛を構えた、手伝ってくれるのは嬉しいのだがそんなに簡単に捕れるなら俺もずっと使っている。


「良し捕れた」

そんな軽い言葉と同時に持ち上げた銛の先には間違いなくそこそこのサイズのクロダイがビチビチ動いていた。

 そんなに簡単ではない筈なのだが、彼女も彼女で運が良いな。

そのまま二撃目でカワハギを三撃目でタコを捕らえていた、なんだろう此処までのドタバタでも堪えてこれたのに泣けてきた、俺にはそこまでセンスがないというのか。


 「このくらい捕れれば十分よね?」

そんな問いにイエス以外の何を言えと言うのだ、そんな事を言うわけにもいかないまま大量の小魚という数では勝ってもサイズで負ける俺の答えは「あぁ」という短い物で終わった。

 なんだろう俺と何が違うと言うのだろうか運動神経はそこまで悪くないし、狙いの付け方もそこまで悪くない、狙った場所に納めるコントロールもある、となるとそれ以外の部分の差なんだろうがそれは言葉で説明できないような部分なんだろうな。

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