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状況報告

 「とりあえずスピーカーにするからそっちも色々と準備して」

そう一方的に告げて電話を顔から離しボタンをプッシュする、ついでに確認した充電は75%、長い話にはなるがとりあえず持つだろうと一安心だ、中途半端なところで切れたりしよう物なら目も当てられない。


 「よく解らんがスピーカーにする意味なんて・・・・・・あぁ、誰か流れ着いたか、相変わらず多岐に渡るようだなお前のは」

流石に察しが早いな、年寄りとは思えない、おかげで説明の手間が一つ省けた

「まぁそうなんだけど、ややこしくなるからそういうのは止めてくれ、只でさえ報告事項と説明が多いんだから」

そう俺の虫の知らせに触れた祖父を諌めて、さて順序だてて説明したいが墨巣さんに今少し間を与えてあげたいし、まずは動物問題から片付けるか。


 「まずは狸が居て鹿が居てゴリラも居た」

仮にこの説明を不足と言う奴が居たらそれ以外にどう伝えれば良いんだと恫喝するだろうな、マジでこれ以外に何を言えば良いのか解らない。


 「頭でも打ったの?」

うん、どうやら居たらしい母の言葉が痛い、ただまぁ気持ちは解る、ただお願いだからそんなマジで心配する声を止めてほしい、ものすごく惨めな気分になってくるから。


 「百歩譲って狸は良しとしよう、千歩譲って鹿も良しとしよう、ゴリラが居た? お前はいったい何を言っている」

祖父の気持ちは痛いくらいに解る、でもマジで居たんだよなこれが、それも何度も夢でないと幻でないと確認しても消えなかったから現実として。

「気持ちは解るけどマジで居た、背中が白っぽいから大人の雄だと思う」


 「ゴリラなぁ、そういえば確かヨーロッパの方の動物園から日本に運ぶ時に脱走して溺れ死んだ事件が有ったな」

祖父はそう言ってカタカタとキーボードを叩いているようで、おそらく当時の記事を探しているんだろう、そう言えば確かに3年くらい前にそんなニュースを見たような覚えがある。


「あぁ、有ったぞ2295年5月25日、会場搬送中の雄のゴリラのロビンソン、通称スマイリーが檻から脱走して海に落ち、そのまま溺れたと思われる、ロビンソンはよく笑っているように見える事からスマイリーというニックネームが・・・・・・っとこの後は責任者どうこうだから関係ないか、お前が見たのがコイツだとしたらどうやってか流れ着いて3年も生き抜いたと? あり得ないな、やはり見間違いじゃないのか?」

 そういえばニヤッと笑っていたな、マジで漂着したとしたら名前が洒落になっていない、同一個体かは解らないが確率は極めて高いと言えるだろう。


「あの、私もゴリラ見ましたから健太さんの言っている事は本当です」

そんな予想外の掩護射撃にギョッとする、どうやらようやく落ち着いたらしい墨巣さんは俺と祖父の会話を聞いて俺の言葉を補完してくれるらしい。


 「うん? あぁ漂着したという人か、まさか女とはね、とりあえず自己紹介といこうか、儂はそこの健太の祖父で宗一という」

「母の奏です」

「父の宗太です」

親父、居たんですね、せめて一言くらい何か言えば良いのに。と言うか仕事はどうしたのだろうか?

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