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漂流者

 なるほどこれが原因かと得心する、きな臭さが消えたのはだいたい2時間半前、彼女が何処から泳ぎ着いたにしてもおそらくその頃に事故に有ったのだろう、そしてここに流れ着くまでがワンセットで俺の第六感が反応していたと。

 つまるところ今までの面倒事がバカらしくなるくらいのトラブルが飛び込んできたという事だろう、それも祖母が逝った時と同等のややこしさのトラブルが。

しかも巻き込まれる形でとなる、これは自己責任とかじゃない事故に巻き込まれるような物で対策とか取れる筈もない、と言うか無かった。


 さてそろそろ現実逃避を諦めて対応するとしよう、とりあえず救助から始めるべきだろう、と言うかもっと早くやるべきだ、そんな当たり前に気付かないとはかなり焦りが強いらしい。

 とりあえず刺激しないように慎重に近付いてみればやはり女性、それもかなりの美人である、年齢はおそらく俺とそこまで変わらない20代前半、ロングヘアーのスレンダー系美人というのが第一印象、さて死んではいないとは思うが絶賛気絶中ってところだろう。


 「大丈夫ですか?」

第一声はそこそこ大きな声でハッキリと掛けてみるが当然のように反応はない、さて普通なら体を揺らすなり脈を取るなりしたいのだが、下着も透けるような有り様の女性にそんなことをしたら目覚めた瞬間に変態の汚名を受け、その後の信用が一切なくなりこのややこしい現状の説明ができないし、面倒事がさらに面倒になる。

 とりあえず無礼を承知で竹杖でつついてみるのが安全策かね。


 「大丈夫か? 生きてるよな?」

そう問い掛けつつ足元をつつく、濡れたシャツから透ける下着とか肌とかから最大限に目を背けつつ慎重に竹杖で触れる。


 とりあえず近付いた事で息はしているとは解るがさて本当に大丈夫なんだろうか? こんな事なら親父から本格的な救護のレクチャーを受けておくんだったと今さらながらに思う、俺が受けたレクチャーは捻挫の対応くらいでこの場合は全くの役立たずだ。


 考え事に埋没したのが悪かったのか気付いた時には竹杖が盗られていた、一瞬だけグンと杖が引っ張られたと思ったらそのまま捻られ咄嗟に手を離して何が起こったんだと分析するより早く立ち上がった少女の振るう杖にタタラを踏んで後退するはめになる。

 「なんのつもりか知らないし興味もないけど、近付いたら怪我するわよ」

そんな第一声だった。


 完全に誤解されたか、もしくは興奮して視野が狭くなっているのか、とりあえず一つ解ったのは意外と背が高いという事と間違いなく何かしらの心得が有るらしいという事だな。

「あー、危害を加えるつもりはないし、怪我もしたくないな、出来れば平和的にお話しといきたいんだがね、少しばかり状況が込み入ってるから」

 両手を上げながらそう告げて、少女の持つ竹杖に視線を向ける、元は竹銛だから先端尖ってて殴られる分には痛いで済むが突かれたら最悪死ぬ、立ち上がった事で割れた腹筋まで見えているがもう服がどうとか言っていられない。

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