お洗濯
体を捻ればバキバキと腰やら首やら肩やらが音を鳴らし、若干の寝不足感を引っ提げて漁へと向かう。
さて今日は何が捕れるやら、この多様性によるランダム性の高さだけは醍醐味と言える、ただし釣りと違い餌とか誘いとかはないしヒキの強さとかもないから鶴子の前で言えば待っているのは激怒だろうな。
彼女によれば釣りは駆け引きらしいし、魚により異なる一期一会を楽しむものらしい、俺の行う漁とはまるで違う、俺がやっているのは潮溜まりに隠れた魚をガッサリ捕る事でそこに駆け引きなんてないからな。
本日の最初の成果はウニとサザエに牡蠣が2つずつだけと寂しい物になった、朝から幸先が悪いな。
ただこれで幸運の暴走の線が完全に消えた、これは喜んで良いのか嘆いて良いのか本当に迷う、リバウンドが少なくともしばらくは無いのはありがたいが、とは言え食糧的には大問題、まぁ食糧は焼き干しで補強できるし大問題と言うほどでもないか。
さて、少ないとは言え食糧は確保できた、昼御飯までは今日もまたゴミとの格闘となる。
山盛りのゴミとか裏山でも見なかったな、たまに業者が不法投棄に来て警察にお持ち帰りされているのを見るがせいぜいが軽トラ一台分、ここにあるのは少なくとも2tトラックくらいは余裕で埋まるだろう、これを一人で片付けるのは無謀とまでは言わないがかなりの挑戦をしているとは言えるな。
ゴミとの格闘に勤しむこと約4時間、ロープや釣糸、布に絨毯が手に入った、色々と集まってきているがさて持ち帰るのも大仕事になるし、このペースだと明後日の昼御飯後には一度本拠地に戻った方が良いだろう、そこからは安全を確認してのピストン輸送でもう1日といったところか。
ロープはかなりの量を運べてしばらくは持つし、釣糸はすでに過剰在庫、焚き付けとなる布も補充できてしまう、まぁ3つ目に関しては細く裂いて乾燥させた木の皮とかがあるからあまり気にしなくていいのだが、雨の日の翌日とかは湿気 とかが気になっているし使わないというわけでもないし補充できたのはありがたい。
昼食を済ましてまずは絨毯の洗濯からだな、そこそこ肌触りのいいモワモワした毛のびっしりと生えた絨毯は折って敷けばクッション製が増しそうだ。
とりあえず小川に沈めた絨毯を踏んで汚れを流す、塩分とか磯臭さとか何かしらの臭いとかが少しは薄れただろうが当然ながら完全に綺麗になるはずもない。
この事態を予想して持ってきておいた洗剤を少し加えて揉み洗いして濯ぐ、とりあえずここで一度切り上げないと水が濁ってきている、残念ながらこちらの水源はか細いため入れ替わるのに時間かが必要となる。
入れ替わるまでだいたい30分、とりあえず拾い集めた物の整理といこう、と言うか絡まった釣糸を解く作業になるが、異様なまでに絡まっている釣糸を木の枝に巻いていく訳だが、ものすごいなコレは。




