最悪の想定
作業が一段落する頃には夕方の漁に出る時間となる、おかげでしばらくは薪に困らないだけの量が確保できた、とりあえずこの数日だけ持てば良いのだがやはり余剰分が有ると安心感が違う。
磯に向かい水抜きを開始するのだがやはりやりにくいな、狭いしホース使えないし捕れる量も少ないこちらから移動して正解だった。
本日の成果は蛸が二匹とウニが数個、唯一この多様性だけは本拠地に勝るな、毎日毎度捕れる物は違うから単純に魚だけの食事を続ける事もない。
シェルターに戻り焚き火を用意して中華鍋で洗った蛸を炒めていく、醤油を持ってきていないから味付けは無しだが塩は持ってきている、塩焼きというのもまた良いものだし美味しく頂けるだろう。
コリコリした食感と蛸の風味に程好い塩分が箸が進む進む、焼きウニが箸休め代わりという見た目豪華な食事を終えてリュックから引きずり出した寝袋をシェルターの中に体を納める。
本日の食事は満足できる量だったが明日からは焼き干しも消費しつつの食事となるだろう、本来なら雨天時の保存食だがこの寝台で減る気力を維持するためには空きっ腹では無理だろう、やけ食いに近いかもだが仕方がない。
やはり体が痛むな、初期に比べたらかなりマシだとは思うのだがもう少しクッションを敷き詰めた方が良いだろう。
今日の漂着物拾いで見付かれば良いのだがさてどうだろう、有ったとしても使えるかの判断は難しいし狙ってはみるという程度に抑えよう。
とりあえず磯に向かい、いつものように漁から1日をスタートする。
磯に点在する潮溜まりをヒョコヒョコと移動しながら鍋で水を掻き出しては残った魚や蛸を探す。
意外と石の隙間とかに蛸が潜んでいたりするのは過去の経験から学んでいる、ただ頑張って引きずり出したらヒョウモンダコだった事もあるし最後まで安心できなかったりするのだが。
本日の成果は大ぶりな鯵と牡蠣にサザエ、なんだろうか、かなり焼き干しの用意をして意気込んで来たのだが拍子抜けするくらいの量が捕れている、それが逆に怖くて仕方がない。
もしも、もしもだがリバウンドと今を持ってガンガン感情に訴えてくる虫の知らせの原因がダブルで来ようものなら地獄の蓋が開くようなものだ。
何が起こるか解らない恐怖は誰でも感じた事があるだろうが、ここまで明確な知らせがある状態を感じた人はあまりいないだろうな、まぁ過去数回的中した第六感という曖昧極まる物に戦々恐々としている人は俺くらいだろうが。
とまれ、確信があるという点からこのモヤモヤが晴れる事もない、残念ながら最悪を考えてしまうのも人の常だ、仮にダブルパンチがあった場合も念頭に入れておこう。
食糧も確保できた事だし目的の漂着物拾いといこう。
相変わらずのゴミゴミ具合いの漂着物の山に若干ながらヒキつつ、またテンションを下げる、この大量のゴミの中から目的の物だけを取り出す事を考えるとアンニュイにもなる。




