安全対策
朝の漁を済まして拠点に戻り、装備を入れ替えて竹林の入口まで移動する。
さてどうしたものか、森の中を移動するルートか海岸線を移動するルートのどちらを移動するかだ、確認が楽なのは海岸線だが移動速度を考えれば森となる。
安全とか気にしないで移動できれば良いのだが嫌な予感は今もバッキバキに来てる、急な倒木とかで怪我する可能性や、或いは帰還が難しくなるか、どうせ徒労に終わるだろうが何が起こるか解らない以上は打てる手は全て打ちたい。
海岸線をゆっくり歩いて倒れそうな木がないか確認して少しずつ進んでいく、昼までに行程の半分が目標となる。
少しずつ歩いているが問題は全くなさそうでひたすら徒労との戦いとなる、それでも行程の半分強、普通に歩けば2時間くらいの位置まで到達できた。
とりあえず目印として持ってきた杖をその場に突き刺して拠点までいそぎ足で戻る。
焚き火を用意して魚を焼きつつ焼き干しを炙る、もう一気に進めたいし今日中に焼き干しの入れ替えを済まそう、どうせ丸1日は干さないといけないしな、明日からにすると停滞にしかならない、ただでさえ停滞どころか止まっている現状できるだけ早く進むなら上々だ。
食事を終えてすぐさま目印まで戻る、ついでに漁具を磯の近くに隠して無駄を無くしておこう。
ゆっくり進めば3時間近く掛かる道でもいそぎ足なら1時間と掛からずに移動できてしまう、今日中に残る行程の確認を済まして明日の昼御飯の後にはシェルターでの生活ができる状態がベストだ。
ゆっくり進んで木々をチェックしてみるが根元が腐っていたり穴が空いていたりする物はなく、なんの問題もない。
正直、作業としては無駄になるだろう、だが万が一を考えればやっておきたい、時間のロスにはなるがもしもの可能性が潰れるなら徒労とも呼べないかもしれないな。
とは言え心は摩耗する、残念ながら必要でも効果が薄いと理解していて徒労感に苛まれないほど俺の器は大きくない、良くも悪くも凡庸、特異性なんてちょっとした幸運と異様な感覚くらいの凡人である。
うん、もうすでに凡人から外れてるな、こんなんだからご近所さんから変人奇人のビックリ一族と思われるんだろう。
ようやくシェルター側の磯まで到着した頃には辺りは夕暮れであり流石に今から戻っても時間切れだな、仕方がないしこっちで漁をして食事を済まし、暗い中を戻るしかない。
とは言え道具のほとんどが向こうの磯近くの浜辺に有るしな、やれる事と言えば手で水を掻き出すくらいだ。
移動に少しばかり時間を掛けすぎた、もしくは作業を急ぎすぎたな、頃合いを見て途中で切り上げるべきだった、もしくは予想して寝袋持って来るべきだったな。
魚と牡蠣をてに入れてシェルター近くで食事を取る、ついでに付近の安全を確認してから海岸線を慎重に歩き続ける、幸いな事に月明りで少しは足元が見えるし移動速度が遅くなる以外に問題はない、とは言え流石に疲れたな、明日は休みにした方が良いだろう、結局停滞するが仕方がない、やはりスマートさには欠けるがままならないのも楽しめる余裕を持とう。




