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ストレス発散

 夕食も終えた所で後回しにしてきた事をやってしまおう、俺としてはあまりやりたくはない部類に入るがかなりキテるしな、このままだと重大化しそうでそっちの方が怖い。

 旧拠点を経由して丘の頂上まで移動し、そこから海に向かい肩幅に足を拡げて立つ、両手をメガホンに口に当てて肺一杯に空気を溜め込む。

「あぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁ」


 大声で叫ぶ、なんかイメージしてた獣が吠えてるというよりはただ叫んでるだけって感じだな、犬の遠吠えでも真似てみたいがすでに気恥ずかしさに押し潰されそうでできやしない。

俺以外は誰にも居ないから見ている奴も聞いている奴も当然ながら居ない、それでも大声で叫ぶというのは非常に難しい、とは言え少しスッキリした感が有るしもう少しばかし叫んでみよう。


 意味の無い叫びが数回、悪態がその数倍、それに一曲を歌いきった頃にはストレスも少しは晴れている気がした、この数日は気の張りっぱなしで気疲れとストレスがヤバかったからな、気晴らしでもしないと眠れそうにない。

ただまぁ、なんと言うかもう少しやり方が有ったんじゃないかとも思う、ただ叫ぶだけってのがどうにも気掛かりだ、効果は有ったから文句は言えないがそこだけ腑に落ちず、変なストレスが逆に溜まった感も有る。

どことなくスッキリしないが多少の軽減はあるという微妙な気分で拠点に戻り寝袋に入る、やはりもう少し図太さが欲しいな。



 昨日の気分もそのままの目覚めはなんと言うか微妙だ、もう少し叫んでみるのも有りか、もしくは新たなストレス発散方法を考えるか、或いは諦めてこの感覚と向き合うかになる。

 こう、もっとスマートに行きたいと思っていた筈なのだがな、困った事に上手くは行っていない、その辺りの意識と現実のズレを飲み込むくらいはしてみせよう。

とりあえずは朝の漁に従事するとして、懸念は一先ず後まわしで構わない。


 ひたすらやるべき事をやればそれはそれでスマートと呼べるだろうという言い訳の逃避だが、この精神状態だと無駄に思考を巡らせたりしたくない、思案も検案も懸念も困難もごめんだ。

 意識を切り替えて漁に集中し、魚を必要なだけゲットし、一度拠点に戻り魚入りの鍋を放置して代わって土鍋等を持ってまた海まで移動する。


 竹筒で海水を汲み、汚れが沈殿してから布で濾しながら土鍋に移す、この作業を続けて鍋が一杯になるまで海水を汲み、慎重に拠点に運び込み火を起こして沸騰するまで待つ。

 ただこのまま座して待つのもなんだし、追加分の海水を汲みにいこう。

念のために回りを確認して延焼の心配がないか確認してから移動し竹筒に水を汲んでからすぐさま拠点に戻った。

なんの問題もなく燃え続ける炎と沸々と沸きだした土鍋がそこには有った、これは一つの賭けだったんだがどうやら虫の知らせより幸運の方が少しばかり強いか、火事とは無関係らしい。

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