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気配

 本日もまた太陽が顔を覗かせる晴れだ、ちらほらと雲はあるが降りそうな気配はない。

 この晴れが続く間に何処まで作業が進むかは頑張りしだいだが、少なくとも完成は不可能だろう。

今月中に完成したらラッキーくらいだし、何よりロープの量的にタイミングを見てシェルターに移動しないといけないな。


 それでも少しは余裕もあるし今日も一先ず磯に向かうとしよう。

 なぜだろうか風も強く波が少し高い、これは早々に嫌な予感が出てきた、雲の流も早いし一雨来てもおかしくはない。

まぁ風が強いからといって雨が降るということでもないのだろうがあまり良い感じがしない、嵐か台風かそんなのが来そうな気配がある。


 少し注意しておこう、保険としてテントのチェックもやっておこうか、念のためでしかないがどうにもキナ臭い、こういう時は大抵の場合、悪いように転がるし良くない事が起こってしまう、今すぐか明日かまでは解らないが少なくとも今月中に何かがある、いわゆる虫の知らせだが外れた事は一度もない。

 魚を手にしてすぐさま拠点まで戻り、テントの張り具合や杭の弛みなんかをチェックし、さらに念のために回りの木々に折れそうな物がないかを確認していく、一通りのチェックを終えて安全を確認すると同時に電話を取り出し、躊躇なく一番をコールした。


 「もしもし高田です」

少し間を置いて聞こえてきたのは祖父の声で話が早く通じそうで安心する。

「健太だけど、また虫の知らせが有った、もしかしたら頼る事になるかもしれないから最低限の準備だけ頼みたいんだけど」

挨拶もそこそこに本題から入る、正直に言ってこの状態だと冗談の一つも出ない、切羽詰まるとはこの事だろう。

取れる手段は最大限に取らないとマジでヤバイ、前の時は祖母が危篤になったし、その前は親友が死ぬところだった、前者は死に目には会え後者はなんとか助かった。

俺の持つこの感覚は祖父いわく危機察知の天運らしい、悪運と呼ぶのが正しいと言えるかもしれないがこの感覚のおかげで助かるというか対処がしやすくなっている。


 「ん? どのくらいのレベルだ、お前のは差が有りすぎるし多方面にすぎる、真っ当な天運持ちなら初代以来の国作りができるというのに、全くもって無駄な才能でヘドが出る」

とりあえず凄く機嫌が悪い事は理解した、いくらなんでも悪態が多い、誰かにアタりたくなるくらいだからそうとうキテるなこれは。


 「かなりヤバイ、婆ちゃんが死んだ時と同じくらい」

端的に告げる、祖父にとっての最大限、俺にとっての過去最高、過去四度の中で唯一の人が死んだケースを。

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