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比重

 ひたすら見つめ会うという謎の時間が15分ほど流れ、ようやくタヌキがのそのそと藪から体を出してそのままいそいそと道を渡って反対側の藪へと消えていく、方角的に溜め糞に行くらしい、あれを見付けてから約2ヶ月。

 やっと姿が見れた、潜んでいたのか出会わなかったのかは解らないがずいぶんと長く隠れていたものだ。

ただ獣道はないから毎日のように使っているルートではないだろうという事を踏まえても、出没するという事実はかなり大きい。


 これは警戒網の設置を急いだ方が良いのかね? 狸の方も下手に拠点に近付くようなことは無いだろうが変り者は何処にでもいる、拠点にひょっこり出てくる可能性は無くはない。

 鳴子が有ればその可能性を多少は減らす事もできる、とは言え現状では干場の建築を急ぎたいのも事実だ。

さて困った、狸程度なら一匹二匹対応は可能だ、噛まれさえしなければ重大化するような動物じゃないし、臆病だから脅かしてやれば高確率で勝手に逃げていく。

だが居るであろう大型の生物はその実態が掴めていない、別に狸が居たからとアンノウンも近くに居るとは限らないが可能性がある以上は対策を取らないいけない。


 だがやはり二の足を踏んでしまうし、眠気と戦う頭では答えも出ない、明日にしよう。



 気持ちの良い目覚めと天気に一先ずは安心して、昨日の続きを考えながら磯へと向かう。

 とは言え、答えは出そうにもないな、あちらを立てればこちらが立たず、こちらを立てればあちらは疎かに、痛し痒しの迷宮だ。

こういう時に取る手段は限られる、すなわちどちらかに集中するか平行作業か、もしくは一度距離を置いて考えを纏めるかの三択、この中だと距離を置くのはあり得ない、そんな時間はないし余裕もない。


 となると平行作業かどちらかに絞るか、仮定して行きたいのだがもう磯に着いてしまった、とりあえずは漁に集中したい。

 毎日毎回毎度、幾度目かのホースセットからの水抜き漁に勤しみ本日の糧を手に入れる。

さてここからどうしたものか、いつもなら作業を進めるのだがどちらを優先するかまだ決まっていないんだよな。


 とりあえず建築現場までは行って、後は行きあたりばったりでいこう、もうこうなったら開き直りの逃避で良い。

 積まれた竹と組まれた骨組み、昨日と全く変わらない建築現場を見据えてとりあえず竹を手にする。

ほぼ無意識で取ったのは太いもの、建築からやっていこう。


 梁を渡して固定していく、これさえ終われば後はもう竹を並べて屋根にするだけ、一気に流れ作業となる。

 材料的に停滞はするだろうが少なくとも数日は持つ、ただやはり鳴子の設置もしたいし平行作業だな、割合としては屋根の方に重きを置くことになりそうだが、それは当初の予定と変わらない、ほんの少し比重が変わるだけだ。


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