捗らない
朝っぱらからのザーザー音はなく、一先ずホッとする、後はテントから頭を出してからになるがさて様子はどうだろか。
幸いにして晴れている、雲はチラホラあるが今すぐ降りだしそうな気配は無い。
天候にも恵まれた事だし動き回るとしよう、まずは濡れた薪を干して夕方の準備、次いで水を汲んで装備を揃えて磯に向かうとしよう。
さぁ新しい朝だ、昨日の雨は消え去った事だしいつものように漁から始めよう。
ホースをセットしていき吸い出し作業と汲み出し作業で一気に水を抜き、魚を捕らえていく、ようやくこのスタイルにも慣れてきたがまだゴールじゃない、もしかしたらもっと効率の良い方法が有るかもしれないのだ、現状では甘んじていても先々は解らない以上、満足なんてしている暇はない。
本日も大漁となり焼き干しの入れ換えも可能だ、やれる時にやっておかないと後が怖いからな。
拠点に魚を持ち帰り、装備を替えて建築現場に向かう、さて今日はヌチャッとした地面の筈で仕事が捗らない事この上ないだろう。
昨日の作業を踏まえた上で固い地面よりはマシだと思う、地面は適度な湿り気があった方が良いのだが建築現場は粘土質な癖に水捌けもあまり悪くない。
腐葉土なら少しは掘りやすいんだが残念ながら土と粘土と砂の混合だ、まぁかなりレアな地面とも言える、完成して数百年の島ならまだ岩盤そのままとかでもおかしくない。
まぁその辺りの考察は専門家でもない俺がどれだけ頭を捻ったところで答えが出る筈もないし気にしない方向で行こう。今はただ地面を掘るという一事に集中していれば良い。
さて作業は全く捗らないがようやくまた一つ穴が掘れた、これで残りは一つ、ここさえ越えれば後は楽な作業の連続だ、もう一踏ん張り頑張るとしよう。
焼き干しメインの昼食を挟み、竹林へと向かう、この数日はほぼ止まっていた運搬作業だ、既に相当量の竹は運んだとは思うのだが同時に足りないことも理解している、穴が掘り終わるまで残り2日ほど、その後も平行作業が続くからギリギリ間に合うかどうかという線だな。
だがまぁ足りないなら足りないで補充したら良いだけだし、あまり深く考えても仕方がない、最終的にはなるようになるだろ。
竹林に到着すると同時に細い竹と端材を束ねて担ぎ上げる、後は上手くバランスを取りながら丘を昇るだけだ。
その後に待つのは森だがすでに開拓済みで多少は手間も掛かるが問題なく通れるようにはしてある。
それに何より束ねて担げる限界まで担いでも重さは今まで運んだ物と余り変わらない、本数はそこそこ行ってるが細いから軽いしかなりの量が稼げるな。
これは地味にモチベーションが上がる事実だ、もしかしたら予想より早く運搬作業が終わる可能性がでてきたからな。




