焦り
ホースによる吸い出しで水をドンドン抜いていく、昨日は焼き干しを消費してしまったし余分に捕っていこう。
ありがたい事に水を抜く前から大量の魚が見えているし余裕で手に入る、まぁ捕りすぎても仕方ないし適度な量で良い。
後は拠点と持ち帰って適切に処理していくだけだ。
とまれ、昨日止まってしまった穴堀り作業を進めよう、昨日の雨でぬかるんでるからあまり触りたくないと言うかやりたくない作業だがそうも言っていられない。
嫌だからと言って停滞していては作業は全く進まない、ただでさえ進んでないんだ多少のイヤとかは飲み込んでやるしかない。
かなりぬかるんでベチャッとしていて全く作業が捗らない、頑張ってフライパンで土を掘り返しても土がこびりついてしまってそれを剥がしては掘っての作業となり、いつもと同じ時間を掛けて半分も進まない。
一通りの作業を済まし、泥だらけの手とフライパンを川で洗う、どうにも作業が進みそうにないが水気が抜けて固まったら固まったで新たな問題にしかならないだろう。
これはもう痛し痒しですらない、前門の虎後門の狼にライオンとハイエナがプラスされてるようなものだ、行くも戻るも地獄なら行くしかない。
もしかしたら哀れな山羊が生贄として現れるかもしれないしな。
火を起こし、のんびりとした気分で魚を焼き続ける、食事の時くらいは余計な事を考えずに楽しみたい、まず間違いなく無理だが心の安定を保つためだ、できないし嘘だがそれを理解していても誤魔化すくらいはやってのけよう。
食事と焼き干しの追加を終えて、装備を揃えて竹林に向かう、足元が悪いから竹を担いで動くには向かないが伐採くらいならできる筈だ。
別に今やらなくても十分なくらいに有るが余裕が欲しいし損もないだろう、なんせ建材としてだけ使う訳ではないのだから。
少なくともそろそろ箸や食器を新しい物にしたい、何度も使う間にささくれだっているし匂い移りも気になる。
さて、転がっているのは太い細い合わせても30本いくかどうか、この後に控える作業の時間から逆算して数本プラスってところだな。
とりあえずはそれで様子見して機会があればまた伐採すれば良い、幸いにしてこの生活まだまだ序盤、簡単に訪れるし作れてしまう。
作業を終えて拠点に戻り、昨日途中で中断した鳴子作りを進めてしまおう、たった竹一本分だが少しは守れる範囲も広がる事だろう。
少なくとも池側からの進入は防げるし気付くのが早まる、それだけでも随分と違う筈だ。
等間隔に鳴子を設置し、全て作った分を全て使いきる、それでも全体で見ればほんの一割強が埋まった程度で作業内容としては物足りない。
かと言ってこちらを優先して建築を疎かにもできないし、どちらも中途半端な感がある、その上でこちらの設置作業は休憩がてらであり最優先が建築であるとは理解していて、大事なのはその緩急だ。
今回はイレギュラーでタイミングがズレたが調整はできた、これもまたミスだな、やはり昨日の雨が原因で焦りがあるらしいここは一度落ち着こう。




