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 海側だけ枝打ちされた若木、それを目印に森に入り、何本かの傷を着けた木の根元、払った枝に隠した筈の段ボール、それが見えていた。

 段ボールにしても少し形がイビツになっており、朝露で歪んだという訳でもなさそうだ。

……何かが居る、荷物が開けられていない所を見れば人間ではないと思われるが、少なくともそこそこの大きさを持つ動物が居る、鳥やネズミでは無理だろうし最小でも猫くらいのサイズ、だが泳ぎ着くにしても本州でも離島でも200キロはある、何かは不明だが誰かが持ち込んだと見るべきだろう。


 或いは僅かに200年で何かが進化した可能性は……無いな、そもそも元となる陸上動物がこの島には入り辛い、可能性としてはアザラシみたいな海獣もあり得るが森に入るかと問われれば想像できない、アザラシやアシカと日本の森って絵にならなそうだ、やはり波に揉まれる岩場のイメージだ。


 どちらにせよ、何かが居る以上はそれなりの準備と注意をしなければならない、例え猫でも人間くらいなら翻弄できる、犬なら最悪の場合は狩られる、少し大型になって猪なら骨くらいは覚悟しないといけないし、牛くらいになると手も足もでない、熊ともなれば絶望だな。

 今はまだどうしようもないし、広い島だから発見や邂逅には時間が掛かる筈、流石に1年間も痕跡すら掴ませないなんて事にはならない筈だ、探索する以上は何かを発見するし何かに当たる、近い内に足跡か糞が見付かるだろう、どうやらこの辺りに居るのは間違いないし。


 歪んだ段ボールを抱えて拠点に戻り、荷物の再確認をする。


 服に通販で買った物の一部、祖父との交渉で追加された歯ブラシやタオルに自然に優しい洗剤、髭そりと手鏡、その他細々した物、これらを手に入れるためにバイクの資金が一部飛んだ、元々が買えない物を買ってもらうんだ、七割でも万々歳。

 文句の出ようがない、そもそも奨学金だけでも十分過ぎる、1年で俺が得る額は約2000万、まぁ現時点で無職なわけだから職の口利きも加われば単純に額面通りではない。


 今の段階では捕らぬ狸のなんとやら、まだ上陸してから1日も経過していない事を考えると気が早いを通り越している、さてさて、まだまだやるべき事は多いし、荷物の整理を済まして食料調達のついでに探索と行こう。

まだ早朝で有ることを考えると干潮からそう時間は経っていまい、満ちる前に潮溜まりを見に行くとしよう、夕方にもチャンスは有るが何度でも自戒するように暗くなる中の作業は危険を伴う、安全第一を入念に言い聞かせ金科玉条と刻み込む。

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