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意図

 細い竹を節毎に切り分け、一部はさらに縦四分割し釘で穴を開け、一節マルマルの物は片側だけ節を抜き、反対側に釘で穴を開け、割った竹二つと合わせて紐で結ぶ。

 軽く揺らすだけでカラコロと鳴り、仮にこれが全てとは言わないが数セットが一気に鳴り響こうものなら気の弱い動物なら逃げ出すだろう。

警戒網の意図の一つでもある相手に警戒を持たせた時点でこちらは万々歳、そこから退くか進むかはその生物にもよるだろうが、鳴り響いた時点で意図その二、こちらが早期警戒に当たれる。


 ほんの数秒早く気付けるか下手をすれば気付かぬ間に侵入されてしまうか、この差は非常に大きい、それこそ生死に関わる数秒だ。

 とは言え、持ってきた竹の量は全く足りず、作業はちっとも捗らない、何よりロープを張り巡らしたという訳でもなく、何もかもが中途半端に過ぎる。

それでも作業を続けてほんの少しでも終わりに近付ける、予定では屋根や干場が完成するより一足二足随分早く完成する筈だ。


 さてようやく拠点の周りをロープで囲えた、とりあえず縄張りの主張にはなった筈だ、効果がどのくらい有るかは不明だが最低限の防衛能力はある筈だ。

 問題は時間が少し空いたと言う点だろう、しかも明日以降はさらに如実に時間が余る。

探索するには短いし、柱を建てる為の穴を掘ったり盛土の用意をしたりするのが妥当だろう、残念ながらスコップは相変わらずのフライパンだから腰にくるし、時間は掛かるだろうがある意味では工期の短縮になる筈だ。


 とりあえず柱となる木と木の中間地点、梁のほぼ真下を掘り下げていく、大体1メートルも掘れば十分だろうが、今日のところは30センチ強が限界だった。

 一度池に向かって手を洗い、拠点に立ち寄って荷物を入れ替え、すぐさま磯に向かう、どうせ調理前にも手は洗うのだがやはり泥だらけでいるのは嫌だ。

綺麗好きとかではなく、気分の問題だな、いやそれを綺麗好きと言うのか? いずれにしても手くらいは綺麗にしとかないと衛生上の問題がある、まあ賞味期限とか寄生虫とか気にしてない時点で矛盾しているのだが。

しかし残念ながら前者は心掛けで注意できても後者の二つは生活する上で避けられず、避けたとしても空腹という大問題が現れる、俺ではどうしようもないのだから考えるだけ無駄だ。


 さて、朝には回復していた漁果だがちゃんと維持できていると良いのだが、たまに回復したとぬか喜びさせておいてのリバウンド真っ最中ってのが有るからな、まぁそもそも幸運ありきの思考回路と幸運のリバウンドとかいう非科学の頂点を生活の一部にしているのだから多少の不運とか不幸とか鼻で笑えてしまう。

 自己紹介の時に『まれに見る幸運の家系です』なんて言った日には普通なら医者を勧められる。

笑って流してくれるのは地元民か賭博に嵌まった連中で家の周辺を博徒の聖地と思ってる連中くらいだろう。


 とまれ、魚が捕れないくらいならこんな生活でも不運とは呼べない、少なくとも今なら保存食も有るしな、不幸というなら変な奴を呼び寄せている方がよっぽどキツイ、あの連中は言葉が通じないしな。

そう考えると家の一族が人間不信になってないのが不思議でならないな。

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