一杯のコーヒー
記憶にある煎り加減は再現できたと思うが、飲んでみるまでは解らない、今晩まで楽しみと不安を抱えて待つとしよう。
さて、食休みもそろそろ切り上げて残る作業を進めよう。
次々と枝を払い落とし、どんどん進んでいく、つい数時間前と比べるのも馬鹿らしくなるくらい楽な作業だ。
ようやく丘の頂上までのルートを作りだし、明日にでも竹の搬入が可能になる、ただし払った枝や切り倒した幹を片付けてからになるが。
とりあえず転がしておいた枝を拾い集めて拠点に運び込み、すぐさま引き返して放置されたままの木に取りかかる。
鋸で適当なサイズに切り、斧で割っていく、細木だから小分けにしたところで乾燥までさほど変わらないだろうが1日1時間の差が大きく絡むのがこの生活だ。
残念ながら1日を安穏と暮らせるような甘さはない、ただ今においては過剰在庫気味なのであまり意味はないのだが。
一本を加工し、そのまま抱えて拠点に戻り、運びきれなかった分を運び出す、細木とは言え流石に木が一本ともなれば量は膨大だな。
残る一本も加工したところで休憩を取り、気合いを入れ直して運び出す。
これでまた薪が増えた、もう2ヶ月くらいは余裕で持つ量に達しているのだが、とうとう3ヶ月の大台が見えてきた。
ある意味ではかなり先々が楽になった、薪に時間を掛けなくて良い分、他に集中できる、直近なら干場建築だな、その先は探索くらいしか予定もないのだが。
とまれ、これでまた一つやるべき事が片付いた、累積した問題は数あるが一つ片付くだけで随分と視界が開ける気がする。
精神的な物でしかないが壁を一つ取り除くなり乗り越えるなりしたわけだから見える景色が変わるのは当然かもしれないが、現実的には今後の作業工程を建てやすくなった程度だ。
とりあえず建材となる竹は随分と前に切り倒した分が放置されている筈だし、明日にでも確認と搬入をしていこう。
まだ少しだけ時間に余裕は有るが流石に疲れた、さて休憩して漁に出るべきかそれともしっかり身体を休めるべきか。
幸いにして食料はあるし漁に出なくても問題はない、後は単純にどちらを選択するかになる、多少疲れるが食料備蓄を進める事が可能な漁に出るか否か。
思考するまでもない、ここは出るべきであろう、疲れたとは言え全く問題のないレベルだし、なんだかんだで焼き干しの量に余裕は無い、今後を考えればここでの足踏みは致命傷になりかねない。
休憩を取った事で多少は楽になり、足取り軽くとはいかないまでも、誤差の範囲内と言った感じの足取りで磯まで歩き、いつものようにホースを設置。
水抜き漁と設置した罠の確認へと続く一連の流れを済ます。
今日は少し少なめだな、もしかしたら幸運のリバウンドの時期が来たのかもしれないが、前回から一月くらい、経験上そこまで悪くはならない筈だし、ある意味早い段階でのガス抜きは望む所だ、前々回は数年ぶりのリバウンドで洒落にならない被害を被ったからな、適度な不運はむしろウェルカムだ。




