搬入路開拓
本日の夕食である焼き魚を食べ終え、今後の計画を整理する。
とにもかくにもまずは搬入路の確保、次いで搬入、建築という流れになる薪を建材に使うかどうかはその時点での作業状況や残存量次第だな。
まだまだ先は長い予定にはある程度の遊びを持たして流動的にいきたいものだ。
鳥の囀ずりに豊かな森の木々の香り、通り行く朝の風、気持ちの良い目覚めのイメージそのままの日常的な光景なのだが、残念な事にロケーションは閑静な住宅街ではなく無人島のテントなんだよな。
まぁある意味では男のロマン溢れる無人島サバイバルではあるが、残念ながら考えていたよりは大変だ。
俺の場合は幸運が絡むから他の人よりは楽なんだろうし、大変とか言ってられないのかもしれないが俺としては人生最大の難所のつもりでいる。
さて本日もまた大漁だった、問題は相変わらず振るわない竹筒だ、うなぎを捕って以来全くのなしのつぶてになるから1週間もの不漁、手を変えてはいるがさてどう転ぶかね。
上手く運べば良し、運ばなくともまた手を変え品を変えだ、仮に全てを棒に振ったとして場所を変えてまた試すだけだ、何もこの磯だけを漁場にしなければならないという法はない。
それにここは島で周りは全て海、漁場には事欠かない、少なくともシェルター近くだとそこそこ捕れてたしな。
ただ少しでも楽な方向に転がって欲しい、そんな淡い期待と願いくらいは許されるだろう。
とまれ、朝飯は確保できた、次の作業に移るとしようか。
一度拠点に戻って食料を置き、開拓に必要となる道具を持って旧拠点に向かう、今日の目標は丘の頂上まで道を繋げ、斬り倒した木を切り分けて運びやすくできれば上々だ。
昨日切り開いた所まで進み、まだまだ立ち塞がる森に斧を振り下ろしていく、次々と木の枝を切り落とし、時には鋸で幹もろとも伐採する。
進めたのはほんの数メートル、手に入れた薪は一抱えにも届かないがそれでも進みはした、昼御飯を挟んで残りの作業となるが山場となる木はすでに全て切り倒した、残っているのは枝打ちだけ。
予定通りに進みそうで何よりだ。
焼き干しと焼き魚の昼食を終え、用意したのは中華鍋と竹筒に乾ききったタンポポの根、燻る残り火の状態を維持しながらゆっくりと鍋の中をかき混ぜて焙煎していく、後はタイミングを見計らっていくだけだ。
俺個人としては浅煎りくらいが好ましく、今晩の楽しみにしたいのだが、非常に残念な事に煎り加減に関しては祖母の熟練の技が有っての物だ、見て少し手伝ってただけの俺では再現できないだろうな。




