番外編6-1
新たな場所へ訪れる時は何時だって緊張する、それが無人島でも鉄筋とコンクリートの塊でもだ、真新しいスーツにネクタイ、ビジネスバック、検査や順応に手間取り初出社が6月か、半端過ぎてコネ入社丸わかりだよな、しかしまさか此処とは。
アウトドアの総合商社、アウトドア系の国産メーカーでは一二を争う大グループで三バカがそれぞれ派生したと言うか関連する会社に勤めていて、そして物凄く嫌だが俺が今日から勤めるこの本社とも言える何処かには変態も居る。
ソノ先輩が居るって時点で、と言うかアウトドアはからきしだからという理由で説明会も面接もしてなかったからな、まぁ今ではアウトドアは体に染み付いているから少しは役に立つと思いたい。
まぁ部所は不明だが流石に門外漢な開発とかは無いだろう、販促、広報が本命、事務、管理が対抗、大穴は最初から追い出し部屋かね、とりあえず時期的に入社式とかは無いだろうが簡単な説明とかは有るだろう、せいぜい自分の部署の場所とか人事部とかだけだろうが。後は有るか不明だが社訓とか社歌、服飾規定とかかね、まぁソレより先に雇用契約と給料の振り込み先の記入だろうが。
受付に名乗って見れば二階奥の総務部にと言われてエスカレーターで二階にそこから通路を進んで人事部抜けて総務部に、とりあえずここで書類書いて辞令はお隣かね、それとも簡略化して早速配属先へか、まぁなるようになる。
「まずこれに目を通して住所と日付の記入、署名捺印ね、それが終わったらこっちに振り込み先の銀行名と支店名、口座番号書いて署名捺印、後は此方の通勤方法に記入して署名、ソレが済んだら彼処の課長に提出して社証作って貰って」
かなり事務的だがこんなものだろうと頷きつつ書き慣れない新居の住所を書き込み手早く書類を仕上げていく、勤務方法はしばらくはスクーターだが雨とかだと最寄り駅まで電車かね、全て記入して課長に提出、渡されたのはプラスチックに名前だけの社証と小冊子、それにピンバッチか。
「社証は中にicチップ入っとるから落としたりしないように、各部署に入る時とか社食の料金もそれで払える、チャージは食堂の入り口でできるし管理に自信が有るなら給料天引きへの切り替えも此処で可能だ、ピンバッチは右襟に着けるように、小冊子は社訓と服飾規定、後は当たり前のモラルとかだな、我が社の社章を襟に着けるんだ、間違っても横柄な態度や恥ずかしい行動をしないように一社会人として自覚を持ち慎んで勤めに励むように」
「では隣の人事部に言って辞令を受けて来なさい、ついでにこの書類を向田係長に渡してきてくれ」
そう言いつつ封筒一枚渡される、なんか校長先生とか思い出すな。
とりあえず向田係長とやらに封筒を手渡すが課長さんの名前聞いてないし見てなかったな、ミスったが課長さんからで通じて良かった、もう少し落ち着いて行動するべきだった、なんか島から戻ってもこれと言う現実に打ちのめされそうだ。
辞令
高田健太殿
本日より販売促進部二課所属とする事を命ずる
日付と会社名、社長の名前、物凄く簡素だな、しかし販促か、まぁ順当な所だろうな。
「販促二課は広報や営業も兼ねたような部所になる、場所は四階右側、とりあえず二課課長の小山田君にその辞令とか持っていけば細かな所属も決まる、まぁ1年目なら誰かの下で学びながらだ、いろいろと言われるかもしれないが頑張りなさいな」




