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番外編4-1

 季節は夏、先月末に中古専門のカーショップで見付けた愛車を転がすにはちょうど良い、メタルブルーに塗装された十年落ちのワゴン、最大で七人乗れるがそんなのはどうでも良く、後部シートを倒せば大抵の物が乗るからな、最近購入した望遠鏡とか自転車とか乗せるのに良いしキャンプグッズも乗る、なんなら中で寝る事だって可能だ、まぁ少々と言わずに寝づらいがあの生活から比べればなんて事は無い。

 今日はクーラーボックスにバケツに釣竿、俺の物ではない荷物を乗せて、なんなら同乗者を隣に乗せて何故だか日本海を目指している、海なら静岡とか愛知の太平洋で良いんじゃないかと思うがそれを言えば烈火の如く仕掛けがどうのと五月蝿いからなこの釣りバカは。

普通、若い男女が夏に海に行くってなればビキニと海パンなのに俺が今年は海行ってないとか何処から聞き付けて何をどう解釈したのか海水浴場ではなく釣りスポット目指してだ、と言うかコイツの実家に迎えに行くまでした俺ってもしかしなくてもお人好しなのか? そりゃあ営業を再開した海野食堂のカレー悔いたかったのも有るが目的はそれだけじゃないしな。


 鶴子の入力したナビに従いひたすら高速を北上して能登までやってきた、いやはや遠いな、と言うかコイツも運転できるんだからサービスエリアで変わってくれるかとも思ったが一貫して俺がアクセル踏んでた、こちとら若葉マークがまだ取れないペーパードライバーだってのを忘れてるのかね、免許事態は在学中でゴールドだがそれもその筈バイク以外乗ってない、まぁバイクには乗ってるから安全運転続けてか、運良く速度違反とかの取り締まりに会わなかっただけかだな。

 辿り着いた漁港で彼女の顔馴染みらしい人に許可を得てから波止場の突端まで歩きだ、何故だか荷物を全て担がされているから荷物持ちが欲しかっただけではなかろうか思うが男の宿命だ甘んじて受け入れよう。

折り畳み式の椅子に腰掛け、手早く竿を組み立てる様はさすがにに慣れているとしか言えないな、その手際の良さが何故料理には生きないのか本当に謎だ、魚捌いて刺身にする以外でコイツの手料理で信用できる物は一つも存在しないからな、だが不器用では無いしやる気が欠落しているのかね。


 港の方を向いて餌付きの針を落として静かに待つ、後ろのアホはルアーを日本海に投げている俺は小魚、アホはシーバス、しかしカゴ釣りとか何年ぶりかね? 狙いとしてはクロダイかアジだが、目標は一匹だがはてさて釣れるだろうか。

 持ち込んだラジオをBGMに水を適度に飲みつつ何度もカゴにオキアミを詰めては投げて、今の所当たりは欠片もだ、鶴子も鶴子で何度も投げては誘いをかけて、ルアーを変えつつ走らせている。

しかし沖釣りでなくて良かった、仮に釣り用のイカダとかでも酔うし、沖合いの堤防とかでも到着までに酔う、サングラスの向こうの波間は静かで魚影は見えてはいるが餌が無くなって行くばかりで針を飲む込む気配は微塵もだ。


 コレなら磯でも探してバケツで水抜いた方がまだ楽だが今日はそういう感じじゃないしな、何度目かの餌詰めと何度目かの針を落として、やはりどうにも釣りってのの楽しさが解らない、しかし何をどう間違えたら海行ってないが釣りに行きたいに変換されるのか、替えの服とタオル持ってくるんだったな、用意してたら飛び込みでもしたのに。

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