番外編2-2
セッティングを済ませてライトを消してとりあえず見上げてみるがやはり物足りない、これでも凄いとは思うし何度目かの天体観測で最高クラスの穴場と言えるがしかし足りない、大いに足りない、あの無人島で見上げた空に比べると空気の淀みが、僅かな街灯や車のヘッドライトが邪魔をしている。
「ここも星が綺麗だとは思うが、もっと凄いの知ってるとな、まぁお前さんの解説付きならこれでも十分なんだろうが」
望遠鏡をセッティングしつつ声を掛ける、俺の方は火星で良いか、望はアルタイル、いやベガ? デネブか? まぁ夏の三角のどれかだ、位置やなんかの調整にもようやく慣れてきたな、最初はひたすら暗闇で星を捉えても焦点が合わず、買って1年近いからな、流石に手慣れる。
「何? 漱石でも目指してるの? それならILoveyouと言いなさい」
あぁ? 何を言い出すかと、あぁ、星が綺麗か、かの文豪は月が綺麗と訳した筈だがな、まぁ俺とコイツからしたら月が綺麗ですねは誤訳でIkillyouかFuckyouになるが、まぁそれに解説がどうのと言ったしその辺りかね? 頭の回転が早いから変に解釈するのは悪い癖だがさてどう返答するかね。
「それに、私を口説きたいなら天体観測じゃなくて私のための観測所を作るか宇宙にでも連れていきなさいな」
なんという現金な、なんか悪女っぽいぞと言ってやりたいがまぁ一言言うならコレだな。
「来年辺り完成の軌道エレベーター、親父の名代でプレオープンに行く事決定してるしプラスワンも可能だが来るか? 宇宙遊泳は無理だがここよりは高い所から星が見れるぜ」
今は亡き祖父が一部だが出資した技術が使われ、それに計画事態にも寄付してるからな、スペシャルサンクスでプレオープンイベントのゲストに呼ばれている、まぁ本人は星になったか地獄か天国かで代わりに親父、しかし面倒という理由で俺と巡って宇宙の旅は確定しているし既に有給申請も下りている、代わりに可能な場所で写真とか撮りまくって売り込み掛けられそうな商品ないか探せと言われたが。
「行く、絶対行く」
「即答かよ、極まってんな星バカ、アイラブユーじゃないが来るなら喜んで招待してやるよ、来年の夏までにパスポートと有給だけ用意しとけ、後はビザだな」
コイツと付き合うとか、無くはないな、愛とか恋とかは微妙だが一緒に居て退屈はしないししんどくもない、鶴子や先輩、俺の回りの女性の中で一番居て楽だ、なんと言うか波長が合うんだよな、微妙にペースに乗せられているし乗せてもいる、互いに影響して出会った頃の俺達を足して割ってややその頃の自分に傾かせれば今の互いってくらいには染まっているし染めてもいる、なんか連れ添った夫婦みたいだな。
新しい誤字報告が有ります。
この一文に気付いたのが今日で500件以上貯まってた件、とりあえずスマホに土下座するしかないですね
私の方でやってる誤字脱字表現チェックは800話くらいまでなんとか、番外編完結が早いかチェックが終わるのが早いか
一つ確実に言えるのは私は私が思う以上にポンコツって事でしょう




