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奴が居る

「あっ」

 ペットから人間に意識が飛んで気付いてしまった、賭けても良いが居る、間違いなくこの屋敷の中に奴が、先輩が居る。

なんだろう、一気に禍禍しい空気が辺りを支配していく気がする、船の時と同じくらい嫌になるな、それでも俺が対応しないと犠牲になるのは墨巣さんだ、これ以上あの変態の犠牲者を増やす訳には行かない。


 何時も思うがどうして俺はあの変態に恩義なんぞ感じてしまうのだろうか、恩も義理も無視できるならば問題にもないんだがな。

 そんな奴なら最初っから貸しを作ろうとはしない、その辺りの嗅覚は初代クラスに発達しているからな、その嗅覚も含めて才能に何度助けられ、何度殺したくなったか、アメコミのヴィランとヒーローの関係の方がまだ真っ直ぐなくらいに拗れてしまっている。

扉の前にまで来たが、何故だろうなガラス戸の向こうに影なんて無いのに裸か類する姿で待っている未来が見える、年のためにシャドーで顔面にストレートぶちこむ準備しておこう。


 ガラリと扉を開ければ誰の影もない、なるほど焦らして焦らしてか、やってくれるな変態、準備していたのがバカらしくなってくるがステップとか踏んで何時でもぶちこめる用意しておきたい。

 ボクシングとかやった事は無いのだが今なら世界チャンプとだって打ち合えそうだ、ただ問題はあの変態は武道の心得が有るって点だな、システマだったか? 鶴子の奴より強いから俺よりは遥かに強い、それでも一発くらいならばどうにかできる。

長い廊下を進んで居間、居間は幾つかあるから最も使用している居間の襖を開ける、どうでも良いがほぼ中身を取っ替えて洋室にリフォームしているのに扉はほぼ襖と障子のままなんだよな、欄間とかは江戸時代から変わらずだ。


 さて、現実逃避は止めようか、見慣れた居間に料理と酒、両親と爺さん、三馬鹿、水着姿の先輩、とりあえず倉に行って刀持ってくるか、村正も血を吸いたいだろうし錆びになってもらおう。


「やぁやぁ、布団の用意はできているよ、それとも先にシャワーかい?」

 そうと決まればと踵を返す前にコレか、先手を取ったくらいでどうという事はない、後ニヤニヤするのは止めろよ望、お前久々に犠牲者が帰ったからと喜び過ぎだ。

「先輩、顔面一発ぶん殴るんで立ってくれます? それとも村正で首飛ばされる方が良いですか? 俺は後者をお薦めします」

俺はおそらく物凄く透明な、清々しい表情をしていると自分でも思う、1年のサバイバルを終えたからではない表情を間違いなくしている筈だ。

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