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不穏

 「先ほどから何をなされているのですか? 早く乗って下さい」

 流石にプロ意識かはたまた社会人としてかは不明だがオカシナ動きしてる若造にも丁寧だな、まぁどうでも良い、とりあえず金借りてタクシー呼んで貰うか代車使うかだ。


 「あぁ、悪いが上司にでも連絡してくれ、車が故障すると俺が言ってると、その上でレンタカー借りてくるなりタクシー呼ぶなり、とにかくこの車は近くの整備工場にでも運んでもらう方が良い、下手にそこまで運転とか考えたら運が良くて明日の夜明けは病院のベットの上だな」

 そう言いつつ少し離れる、大丈夫だとは思うが爆発でもしようものなら怪我は覚悟だろう。


 「はい?」

「気持ちは解りますけどとにかく連絡して下さい」

俺も同じ事言われたら同じ反応すると思うが感覚を共有出来るならば間違いなくすぐさま動くってくらいにヤバイ。


「何事?」

 しばし電話を待つ間に墨巣さんが聞いてくるが説明は可能か、随分と前に虫の知らせは伝えているし簡単だな。

 「何事かと言われれば虫の知らせだな、あの車から嫌な感じがビンビンに来てる、墨巣さんの時ほどじゃないけどヤバイのは間違いない」


 過去数回と比べても微妙だな、昇よりは上で祖母や墨巣さんよりは下、最悪だと人死には出るレベルだ、昇の時はマジでヤバかったらしいからな、向こうの親父さんにも話して入念に準備したがそれでもヤバかったと本人が言っていて、もしも俺の忠告と親父さんにお爺さんの手助け無しならほぼ確実に死んでいたと認めたくらいだからな。

 あれより上となると俺の幸運でも下手に関わると死ねるからな、あの車からは可能な限りで離れたい。

暫く待つと電話を終えたらしいスーツ姿の、おそらく俺より数年年上だろう若者が怪訝な表情を浮かべている、そりゃあ上司から大切な客を運べとタクシー代わりに使われてその客が『その車はヤバイ』と言ったから車を使うなと言明されれば俺でも誰でも怪訝な表情にさしかならないよな。


 「とりあえずタクシーとレッカーを手配しました、私は車の方を確認しますので裸で申し訳ないのですがこちらを」

 そう言いつつ万札とメモだ、かなり昔の文豪、確かSFの巨匠だったかが描かれた物を一枚、それにヘリポートの名前と住所、連絡先、物凄く行き届いているな、これが社会人か。


 「えっと、受領書と言うか借用書を書きますからメモ帳をお借りできますか?」

金の事はシッカリとしないといけないというのは俺の個人的な決め事の一つだ、我が家は幸運故に浪費家も居れば後先考えないのも居るからな、自分はそのタイプではないと思うが何時身を持ち崩すかは誰にも解らない、借りるにしても貸すにしてもシッカリとだ。

渡されたメモ書きに日付と額面、名前を署名した物を二枚、後はこの人が署名して一枚ずつ持つだけだ、まぁ返却は祖父を介してリレー式にはなるが。

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